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茶房 クロッカス 最終編

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 ドアを開けて外へ出ようとした瞬間、大事なことを忘れているのに気付いた。
 慌てて俺はみんなに待つように止めると、沙耶ちゃんと優子とに耳打ちをした。
 そう、ブーケを投げるのを忘れていたんだ。ふぅ〜〜危ないところだった。
 四人とも無事に結婚式が終わったので、安心して気が抜けていたんだ。
 何せダブルウェディングなんて、滅多にこのホテルでもないらしいし、まして少し順序ややり方を変えてあるから、進行係の人も誰一人気付かなかったみたいだ。
 俺たちは改めて教会内に向いて立ち並び、参列者に目を戻した。
 その時には参列者のみんなは、ほとんどが椅子から立ち上がり、輪になったように俺たちを取り囲んでいた。
 そして予め耳打ちした相手に向けて、沙耶ちゃんと優子がブーケを投げた。
 ヒューーーン
 二つのブーケは同時に皆の視線の中を飛び、目指す人の手元に無事キャッチされた。
 沙耶ちゃんが投げたものは京子ちゃんに。そして、優子が投げた方は夏季さんに。
 京子ちゃんは嬉しそうに顔を輝かせ、夏季さんは、その笑顔を重さんに向けて小声で何か囁いたようだった。
《良かった!! これで安心して披露宴に進める》
 きっとこの時の、俺たち四人の想いは同じだったと思う。
 それから俺たちは、一旦控え室へと戻った。