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茶房 クロッカス 最終編

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「フフフ、じゃあそれに関しては沙耶ちゃんから話してもらおう」
 俺は沙耶ちゃんに、どうぞと目で促した。
「うふふ、皆さん驚かせついでにもう一つ聞いて下さい。実は私も結婚するんです、良くんと。それもマスターと一緒に……」
「えっ、一緒にーー!?」
 またしても三人の声が合わさった。
「一緒にって、同時にってこと?」
 礼子さんが自分の言葉を確認するように言った。
「はい、ダブルウエディングを予定してます!」
「はぁーーーー!! なるほどっ」
「それで、結婚式はいつなんですか?」
 みのさんは冷静に尋ねた。
「うん、一応来年の春を予定してるんですよ」
「春ですか、良い季節ですね」と、みのさん。
「そうなんです。クロッカスの季節は、俺たちにとっては記念すべき季節ですから。それに、俺たちがこうして再会できたのも、表のクロッカスのお陰ですしね」
「場所はもう決まってるの?」と、礼子さん。
「それは今、私とマスターとで検討中なんです」
「えっ、優子さんは?」
「母は、私たちに任せるって言ってますから。うふっ」
「ねぇ、悟郎ちゃん。当然俺たちも結婚式に呼んでくれるんだよねっ」
「もちろんだよ! 淳ちゃん。って言うか、是非参列して欲しいんだけど良いかな?」
「わぁ〜嬉しいわぁ! 悟郎ちゃんの結婚式に参列できるなんて最高!」
「礼子さんがそんな風に言ってくれると、俺の方こそ『最高!』だよ」
「――あのぅ、私も呼んでもらえますか?」
 控えめにみのさんが尋ねた。
「もちろんですよ、みのさん。是非来てもらいたいです。もう俺には両親もいないし、元より兄弟もいないし、出席してくれる身内なんてほとんど居ないようなもんですからね。是非皆さんに参列してもらいたいんですよ」
「――皆さんに祝ってもらえるのが、俺にとっては一番の幸せですから」
 その後も結婚式のこと、みのさんの出版のこと、そして淳ちゃんたちの子供の将来のことなどで、話は留まる所がなかった。
 結局夕方までみんないて、閉店間際にようやく帰って行った。