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アガペー 〜あるAV女優へ〜 (後編)

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 初めてその図書館で会ったときは、彼女のほうから話しかけてきました。
 申し訳ないが、椅子の下にボールペンが落ちてると思うので拾ってくれないか、と。
 私は大丈夫ですよと答えて、かがんで椅子の下を覗きました。
 その時、彩赤さんは私の背中に両方の手の平をそっと乗せてきたんですね。
 私はどうしたんだろうと不思議に思いましたが、それが彼女なりの感謝の表現なのかなぁと思っただけでした。
 で、椅子の下には何も落ちていませんでした。
 私は身を起こして、何も見つかりませんでしたと言いました。
 彼女は申し訳なさそうに頷きました。
 そのあと、もしよかったら一階にある喫茶店でお茶でもしませんかと誘われたんです。
 私は背中に彼女の両手の平の感触を引きずったまま、オーケーの返事をしていました。
 それからは何回か図書館で待ち合わせをして、一階の喫茶店で一緒にお茶をするようになったんです。

 彼女はレズビアンでした。
 もちろん、それはあとになってわかったことでしたが。
 
 彼女が初めて私の部屋に遊びに来ることになった時はとっても嬉しくて、朝からクッキーを焼いて、お気に入りの紅茶なんかも用意して待っていました。
 彼女はいつもの黒い大きなサングラスをかけていて、いつものようにコートの色を確認してきました。私はお茶の用意をしながら、赤いですよーって答えました。
 食卓にお菓子を運んでいると、彩赤さんはバッグの中から耐熱ガラスの小瓶のようなものと、小さな袋に入った覚醒剤を取り出していました。
 最初、私にはそれが何なのか全くわかりませんでした。
 彼女は私に、小さな袋の中に入っている細かな結晶を少しだけ小瓶の中に入れるように言いました。