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D.o.A. ep.17~33

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ソードが駆けつけた時点で、すでに大本営である、ロノア国軍本部は壊滅していた。
物理的な意味ではなく、大本営としての機能がまったく果たせない状態と化していたのだ。
大本営に残された人員はさほどいないので、死骸の数自体は多くないが、それだけに守りたくても守りきれなかった状況は悲惨である。
生存者はゼロにひとしく、かすかに息のある者も、もはや助からない傷を負って苦しむためだけに生きていた。

「…かっ、…か…」
「もう、しゃべるな…」

大本営のかなめである、アハス=ハスカード準武成王。
彼のいる部屋を目指し、ソードは階段を駆け上がっていく。
鬼兜との戦闘行為に、無為な時間をついやした己のうかつさを呪った。
10分はけっして短い時間ではない。
10分あれば、仮にソードなら、要塞とも呼べぬこの本部に残されている、文官のような軍人を皆殺しにすることなどたやすいだろう。
そして、武成王の部屋には秘密がある。
扉の前までたどり着くと、見張りの兵が死体となって転がっていた。―――つまり、もう、ここも。
ノブを回して、扉を押し開ける。

開かれた先は、紙の海だった。
無数の書類が床一面をおおい、ロノア軍人たちはその上であざやかな血を撒き散らして死んでいる。
そして、部屋の奥では、おそれていた秘密の入り口が口を開け、そのすぐ横に大柄な男の姿があった。
「アハスさん!」
もたれた壁にべっとりと血をこすりつけ、床に尻をつけていたのは、ハスカードだった。
駆け寄って様子をうかがうが、彼はすでに事切れていた。
この部屋にいる誰よりも、傷と出血量が多い。
散々痛めつけられても、秘密を守りぬくために、斃れなかったのか。
「…すまない、…アハスさん」
血のしたたるような悔いをつぶやき、ソードはふたたび走り出す。

「どうかご無事で…陛下、姫…!」

―――王宮へ続く通路へと。



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作品名:D.o.A. ep.17~33 作家名:har