D.o.A. ep.17~33
Ep.31 トライディザスター
―――黒い空が鳴いている。
突破が可能であると状況を判断した司令部は、15時00分をもって、正面突破部隊に、突入を命じる。
武成王という一騎当千の戦力はいまだ帰還せず、成功を不安視する声もある中、一気にふみ切った。
陸軍とは性能の段違いな巨砲が、次々と煙を上げながら砲弾を押し放つ。
碇泊していた、かの恐ろしい砲弾をつんだ大艦の上に、ロノア最高の巨弾が間髪なくふりそそぐ。
2000メートル以上離れた高地でそなえられた巨砲である。さほどの命中率は望めまい。
せいぜい、恐るべき大艦を港から追い散らしてくれれば御の字。期待は実のところ、うすかった。
ところが、海軍の誇る巨砲は、思惑以上のはたらきをした。
もともと、ゆれる海上であつかう大砲だ。
海上で目標に命中させる砲手が、陸という固定された条件で、同じ行為を求められたのである。
その命中精度は、9割ちかくをたたき出した。
オーク軍団が、大軍港を確実に手に入れたいなら、上陸後に真っ先に高地を狙うべきであっただろう。
敵船の半分以上が、海の藻屑と化し、海底へとしずんでいった。
同時進行で、中央へ突撃を開始する。
士気の高い正面突破部隊は、勇猛果敢につきすすみ、オークとの死闘をくりひろげた。
ソードがおらずとも、やれる。
故郷を守る、という健気で素朴で、だからこそ強い決意と、勝利は目前という自信がかたくむすびつき、彼らは実力以上に奮戦した。
その勢いはすさまじく、怪物をさえひるませるほどだった。
突破まで、もうあと一息。
――――そんなときに、「それ」は、舞い降りた。
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作品名:D.o.A. ep.17~33 作家名:har