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杉が怒った

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第1章 S博士の研究



きっかけは、古い文献だった。そこには、植物が危険を感じる能力があるということが記されていた。ポリグラフ(簡単にいえば嘘発見器)をつけて計測したのが始まりのようだ。例えばライターの火を近づけると植物が反応を示す。さらに人間が、火を近づけてみようと思っただけでも大きく反応するというのだ。

S博士は、その性質を利用して警報を鳴らせる仕組みが出来ないかと考えた。さらに将来は樹木が感じている画像を表示させ、防犯カメラの役割をさせようと思った。それによって犯罪を未然に防ぐことができるかも知れないと……。


たとえ危険を感じてもその場所から逃げることができない植物たちが、なぜこのような反応をするのだろう。進化の過程をみても、太古に植物が歩いたという証拠もない。どこかで植物と動物に分かれて進化した筈だ。ただし、植物に知能があって感情があるというデータは見つかってはいない。
研究によると、形態の似た植物同士が情報伝達していることも確認された。驚くことに、その情報は建物等で遮蔽されていても何の減衰もなく伝わっている。そして遠距離に対してほんの僅かな遅延しか見られなかった。その情報によって葉の組織変更が見られたことから、山火事などが起こった場合になるべく燃えにくくし、自己保存しようとしているのではないかと思われる。

作品名:杉が怒った 作家名:伊達梁川