嘘一つ定食
「おっおー、結構量あるじゃん」
高見沢はそう呟きながら、『嘘一つ』は一体何なのか、その発見のために味覚感性を研ぎ澄まし、まずは大きなえび天にかぶりついた。
「えっ、これってほんものだよ、嘘じゃないゼ」
普通えび天は衣ばっかり。
中のえびは鉛筆のように細いものだ。
だが、このえび天は予想に反し、しっかりと太かったのだ。
「嘘一つがあるって、何が嘘なんだろうなあ?」
高見沢は興味深く、次に焼き肉を口にした。
これも実に柔らかく、絶対に国産牛だ。
ここにも嘘はない。
次にスープ、これもオニオンスープでまことに良い味だ。
そしてゴハンはふっくらと、間違いなく高級ブランドのコシヒカリだ。
「嘘なんか一つもないゼ、この『嘘一つ定食』、全部ホントだよ・・・
えっ、だからここの食堂は・・・ホント屋と看板上げてるのか? そんなオヤジギャグかよ!」
高見沢はもうなにがなんだかさっぱりわからない。
だけど気持ちは満足、充分に満腹となった。
そして食事を終えて、レジへと向かう。