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マナビノ箱

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次の次の日の給食のとき、当番の子が配っているときに、けんじくんのおかずを
こぼしてしまった。
哀しそうに見つめるけんじくんのおかずをかよこちゃんが拾ってあげた。
だが、拾っても食べられるわけじゃない。
なおきくんのからだが動いた。
「ぼくの半分こしよ!」
下で拾っていたかよこちゃんが、見上げた。笑ってない。
なおきくんもはにかんでいない。頬が強張って口を一文字に結んでいた。
「でも、なおきくんのだよ。これすきでしょ」
「だから・・・半分・・・」様子を見ていた先生がしゃもじを持って近づいてきた。
「なおきくん、ありがとう。じゃあ少しけんじくんにあげてね」
「せんせい、わたしのも」かよこちゃんも差し出した。
ボクもワタシもと声があがったが、先生は「今日はこのふたりから分けてもらいます」と場をなだめながらけんじくんのきれいな器に乗せ替えた。
かよこちゃんが、微笑んだ。なおきくんは、やっぱりはにかんだ。
給食が終わって片付けていると、けんじくんが声を掛けてきた。
「なおきくん。さっきはありがとう。おいしかったね。みんなとおんなじものがたべれてよかった。さて、ごごもげんきだー」
なおきくんは、何も答えなかったが、嬉しかった。
正面を向いて笑った顔が手洗いの鏡に映って、やっぱりはにかんだが笑ってみた。

作品名:マナビノ箱 作家名:甜茶