聖なる夜に。
「よし、あの家から行くぞ」
話し合いを終えたリーダー格のおじさんが、一件の民家を指差す。
周りのおじさんたちは一度だけうなずいて彼に従うのだが、これ本当について行って大丈夫なのかな?
玄関前でおじさんたちが立ち止まる。扉に鍵が掛かっているからだろう。
「どうするんですか」
小声でリーダー格のおじさんに聞くと、
「キーさん。やってくれ」
「あいよ」
事務所で僕にコートを投げてきたおじさんが、針金的なものをカギ穴に差し込んでがちゃがちゃやりだした。……キーさんのキーって「key」のことかよ。
一分たたずに、鍵が開く。
「よし。俺が中に行く。みんなは見張りを頼む」
そう言って、リーダー格のおじさんは家の中に入って行った。
「みんなはいつも通りに。バイトは家の裏をよろしく」
キーさんがそう指示を出すと、おじさんたちは音もなく散らばった。
玄関に取り残された僕は、仕方なく言われた通り裏に回った。