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垣一 不知
垣一 不知
novelistID. 35203
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聖なる夜に。

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 「よし、あの家から行くぞ」
 話し合いを終えたリーダー格のおじさんが、一件の民家を指差す。
 周りのおじさんたちは一度だけうなずいて彼に従うのだが、これ本当について行って大丈夫なのかな?
 玄関前でおじさんたちが立ち止まる。扉に鍵が掛かっているからだろう。
 「どうするんですか」
 小声でリーダー格のおじさんに聞くと、
 「キーさん。やってくれ」
 「あいよ」
 事務所で僕にコートを投げてきたおじさんが、針金的なものをカギ穴に差し込んでがちゃがちゃやりだした。……キーさんのキーって「key」のことかよ。
 一分たたずに、鍵が開く。
 「よし。俺が中に行く。みんなは見張りを頼む」
 そう言って、リーダー格のおじさんは家の中に入って行った。
 「みんなはいつも通りに。バイトは家の裏をよろしく」
 キーさんがそう指示を出すと、おじさんたちは音もなく散らばった。
 玄関に取り残された僕は、仕方なく言われた通り裏に回った。
作品名:聖なる夜に。 作家名:垣一 不知