聖なる夜に。
それからしばらくの間、リーダー格のおじさんは時計を睨んでいたが、
「行くぞ」
その声と同時に一瞬で扉を乗り越え玄関まで走り抜けた。キーさんもそれに続く。
説明はなかったが、おそらく、無線の人が言っていた三分の間に帰ってこなければならないのだろう。
間に合うだろうか。
少し不安になる。手は汗まみれだ。
さっきまで何をやっているのだろうこの人たち、なんて思っていたのに、今では彼らを応援する自分がいて、少し滑稽に思えた。
「お、戻ってきたぞ」
二分足らずでおじさんたちは戻ってきた。この日一番の早さだ。
どうやら、僕の心配は無用だったらしい。