舞うが如く 最終章
舞うが如く 最終章
(9)最終回・昭和の奇跡
明治から大正へと時代が移り、
さらに昭和へと年号が変わった頃に、再び法神流が脚光を浴びました。
柔道や剣道が奨励をされ、
それらの武術大会が、盛んに開かれるようになりました。
昭和の初期には、3回におよぶ柔剣道の全国大会が、
昭和天皇による天覧試合として開催をされました。
このころ前橋で、「昭和の剣聖」と異名をとった
持田盛二が、天覧試合でその実力をあますところなく発揮をしました。
法神流4代目の高弟という父を持つ盛二は、幼いころから
その才能を開花させてきました。
16歳のときには、群馬と埼玉の対抗選抜試合に出場して、
大人18人に勝ち抜き「持田の小天狗」と大称賛をされました。
そしてその勢いはとどまることを知らず、
昭和5年に開かれた、昭和天皇即位を記念しての天覧試合では
見事に全国優勝を飾りました。
法神流と持田が全国で脚光を浴びていたちょうどその頃のことです。
上州・群馬では、武道館へと続く坂道をゆっくりと歩む二人の老婦人の姿がありました。
そのうちの一人は琴で、連れのもう一人は八重です。