読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ
萌え心を揺さぶる読み違え大和魂妄想仕様・その2
全国のみなさん、萌えてますかー!!(ア○ト○オ猪○調)
テンションがおかしい…いつにも増して。それもこれも第2部のテーマのせい。
第1部は《学校が舞台かつ少年が対象》の作品群だった。
第2部は《同性への熱くて厚くて篤い想いが対象》の作品群である。
近ごろでは、男性同士による《友情以上恋愛未満の関係》を《ブロマンス》と云うらしい。何でもかんでも横文字をあてる我が國の風習を大いに厭う私であるから《ボーイズラブ》という表現もあからさまに嫌っている。
その昔、書店でムージルの『寄宿生テルレスの混乱』を発見時、その帯に踊っていた文字を見るなり、引きちぎって棄てたくなった。
「ボーイズラブの古典」
たわけっ! 光文社の古典新訳シリィズともあろうものが《ボーイズラブ》などという商業的和製英語を使うでない!! 昭和の堅物頑固オヤジと化す己がいた。せめても《同性愛》としてほしかった(読んでみれば《同性愛》とも違うことがわかるのだけど)。
じゃあ《ブロマンス》はどう表現すればいいのか?
《匂い系》に極まってるではないか。若い女性陣からは「え〜、何それぇ、ちっともキレイじゃないんですけどぉ」とイチャモンつけられそうだが「それは漢字変換が間違ってるからだ。ググれ」と云い返したい。《臭い系》ではない。《匂い系》だ。《臭い》だったら、そりゃあキレイからは程遠くなる。スカトロ系、カニバリズム系になってしまう。
『萌え心を揺さぶる友への言葉・その3』で紹介した《恋愛的友情》というのが、まさしくこの《匂い系》なのである。「的」という一文字が「匂い」を表している。嗚呼…日本語(漢字)って素晴らしい。カタカナ語ではこのニュアンスは、どうしたって表せない。
選択基準は言うまでもなく、私の独断・偏見・願望・妄想による。一読しただけで「あらヤダなんか匂うわ、この唄」と脳がほざいた15首を紹介する。
では、スタート。
***
◇勝ちて獲し少年の日の胡桃のごとく傷つきいしやわが青春は
◇列車にて遠く見ている向日葵は少年のふる帽子のごとし
◇草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
◇日あたりて遠く蝉とる少年が駈けおりわれは何を忘れし
◇軒の巣はまるく暮れゆく少年と忘れし夏を待つかたちして
◇少年のわが夏逝けりあこがれしゆえに怖れし海を見ぬまに
◇悲しみは一つの果実てのひらの上に熟れつつ手渡しもせず
◇僕の痛みがあつまって、日ざしのなかで小さな眠りになる夏のために
◇青空より破片あつめてきしごとき愛語を言えりわれに抱かれて
◇煙草くさき国語教師が言うときに明日という語は最もかなし
◇わが内を脱けしさみしき少年に冬の動物園まで逢いにゆく
◇サ・セ・パリも悲歌にかぞえん酔いどれの少年と一つのマントのなかに
◇ねむりてもわが内に棲む森番の少年と古きレコード一枚
以下の3首については《匂い系を超えちゃった系》である。我が萌え心が紡ぎ出す妄想劇場を熱く語ろうかとも思ったが、ドン引きされそうなのでやめておく。
知りたいという同志の方にのみ、お伝えする。ご一報を。
◇太陽のなかに蒔きゆく種子のごとくしずかにわれら頬燃ゆるとき
◇ラグビーの頬傷は野で癒ゆるべし自由をすでに怖じぬわれらに
◇ここをのがれてどこかへゆかんか夜の鉄路血管のごとく熱き一刻
作品名:読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ 作家名:夏生由貴