小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

空を泳ぐひと

INDEX|7ページ/7ページ|

前のページ
 


「ゆう! そんなとこで何してるの!」
 突然、大きな声が耳に飛び込んできてぼくは墜落してしまった。
「塾から電話があって欠席ですかと言うものだから、そんなはずはないと言ってから、心配だから探していたら、ああ、あなたはこんなとこで口を半開きにして空を見上げて」

お母さんはそれからずーっと家に帰るまで怒鳴り続けていた。こんなに怒ったお母さんは初めてで、ぼくは自分が情けなくなり、これからは空を見ないで歩こうと心に誓った。
 

今日も自転車にのって下を向いて塾に向かっている。公園の横を通るときに黒い貝殻の様なものを拾った。太くて丸いところから急にしっぽのように細くなり、巻き貝のように溝があった。なぜか懐かしく感じるそれをポケットに入れてまた走り出した。ぼくの頭が少し重くなった気がした。

(了)
作品名:空を泳ぐひと 作家名:伊達梁川