恋色季節
「ヘイ!理央!キミの彼女はおっかないネッ」
「気にくわないと切り捨てるみたいでね」
「エッ?!オレ嫌われちゃったノ?!!」
「さあ?」
でも、その方がいい。
他の男が近づかないじゃん?
「ねエ、理央と彼女が出会ったキッカケって何なんだイ?」
「…トイレまでの案内係」
「…Why?!!」
「何か際どかったんだって」
「待って?よくイミがワカンナイ」
「…じゃあ流して?」
「エェッ?!!気になるヨーッ!!」
あれは、あまり人に知られたくない。
俺が熟睡してるときにトイレの案内依頼だけで起こされた。
しかも命令形で。
でも一瞬…瞳を開けた刹那。
天使がいるのかと思った。
のもつかのまそのままアンタのイメージは崩れていって…とんでもないなって思ったんだけど…
余計に…惹かれていった―…。
「Mr.中村!出番ですヨ」
「Okay.」
瞳を瞑れば鮮明に思い出す。
俺は今、思い出を想い、想いに恋してる―…
ワーッと歓声が広がるコートに俺は決意を胸に足を踏み入れた。
勝つ。
紗希との大切な約束。
試合開始の合図と共に、黄色いボールは宙を舞った…