小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

恋色季節

INDEX|64ページ/71ページ|

次のページ前のページ
 


「心優〜っ!お風呂お先に〜っ」

「あいあいさ〜っ!!」

心優は今日、女のコの日らしいので先にお風呂に入らしてもらった。

この日がくると心優も女のコなんだなって仕方なく認めさせられる。

階段をあがっていき、共同の自室に戻った。

「ふ―…」

一息つくと自分の携帯のバイブレータが鳴り出した。

着信:魔王様

一瞬出るのをためらいました。正直。

ピッ…

「はい?」

『やぁ、紗希ちゃん』

あたしに電話なんて珍しい…

そう思いながらも用件を催促した。

『紗希ちゃん、君は明日何時に空港に来るんだい?』

「え…?3時に発つって言ってたんで2時半くらいですね」

神崎先輩は理央に聞いてないのかな?

『やっぱり…』

「え?」

呆れたような声が機械音に混じり聞こえてきた。

『それ、丁度飛行機が離陸する時間なんだ』

「えぇっ?!」

なんで…?

理央は私に嘘を…?

「みんなは…知ってるんですか?」

『うん。中村のことだからきっと紗希ちゃんにそう言ってると思ったんだ』

「…なんで」

急に無気力になる。

アイツはいつもあたしに大事なことを隠すんだ―…。

『越前には内緒だよ?口止めされてるから…心優とキミに』

そこまでする、理由は何―?

「…解りました。神崎先輩」

『ん?何だい?』

「しらばっくれるのはもうよしましょうよ。
では、また明日」

『…クスッ
やっぱ侮れないや、君は。おやすみ』

プツ

ツーツーツ-…

理央に確認はとれない…

あたしは携帯を握りしめ、唇を噛み締めた。

「バカ…」

ぽつりと呟く。

届くことのない君へ…せめてもの…足掻き。

「心優でストレス発散しなきゃ」

そういってカッターを手に心優ちゃんを待ち伏せしていた紗希ちゃんでした。

作品名:恋色季節 作家名:紗智