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恋色季節

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夕日が辺りを紅く染める。

「明日だね…」

「だね」

自然と目線が下にいく。

しっかり理央を見なきゃいけないのに…

「あっ、明日発つのは3時でいいんだよねっ?!」

「…そうだよ」

「んっ!!じゃあまた明日!」

―…ぎゅっ

理央の香りが私を癒す。

同時に、これ程にもないようにあたしを苦しめる。

「さっきいっぱいぎゅってしたじゃん…」

「うん…」

「足んないの?」

「うん…」

「…そっか」

私も抱き締め返す。

今感じている苦しさを、抱き締める力に託して…。

「まだ明日があるじゃん!ねっ?!」

「…うん」

そういって理央は力を緩めた。

「じゃあ…明日ね!」

「…じゃあね」

そういつものように帰ろうと理央に背を向ける。

理央の体温を服越しに覚えてしまったこの体は、とてもとても熱い―…。

泣きそうになりながら、くるっと振り替える。

満面の笑みを張り付けて―…

「理央!!」

「?」

少し歩いたため、遠くから理央を呼ぶ。

「帰ってきたらさっきの続きしよっか!」

「……はぁっ?!!」

「にゃはっ!冗談だよーんっ!」

そういって今度こそ、私は帰路へついた。

涙を…頬に…伝わせながら…

最近はもう緊張しなくなってきた。

むしろ帰るのが楽しくなってる。

優しいお父さんとお母さんが待っててくれてるから。

あ、あと奴隷犬も。

「たっだいまーっ!!」

「おっけえり紗希っ子ぉおぉぉッ!!」

ドアを開けて最初に奴隷犬が迎えてくれた。

「あら、お帰りなさい紗希ちゃん!今日は彼氏君に1日宿まるかと思ってたわ♪」

この親あってこの子あり。

「な、なにをゆうか母さん!紗希ちゃん!パパは認めんぞっ!!」

「あははっ!大丈夫ですよ!!…まだ」

「だ、だめだぁあぁ!!紗希ちゃあぁんっ!!」



この親あってこの子あり。

遺伝子は凄いな。

「じゃあ不良少女!ご飯食うぞぉっ!!」

「了解した!」

「え…?」

心優が吃驚している。

あたしから不良少女という単語に対してのツッコミがなかったことに。

「…マ、マミーッ!!今日はお赤飯だぁあぁぁ!!」

「あらあら、どうして?」

「紗希たまのご機嫌が大変良いのでありまぁあすっ!!」

「やっぱり紗希ちゃんは…っうぅ…」

涙するお父さん。

違いますよと否定しにっこり笑った。

作品名:恋色季節 作家名:紗智