恋色季節
そんな世にも奇妙なやり取りをしていると、とても儚く優しい声が聞こえてきた。
「やあ、神崎」
「あ、久しぶりだね」
「?」
「…?!まさか…っ!!」
「久しぶりだね、紗希ちゃん」
にこりと微笑んだ男の人はあたしのとてもよく知っている人―…。
「にっしーっ?!!」
「フフ…そうだよ」
「何だい?もう会ってたのかい?」
「紗希ちょんいつ知り合ったの?!!そんな綺麗な人!」
あたしたちは微笑みを交わした。
「「ひみつだよ」」
「クスッ、中村…妬くね」
「あははっ!紗希っぺ小悪魔やあ!」
そんな話をしながら神崎先輩たちに誘導されるがまま私たちは歩いた。
「さて心優、僕たちはデートでもしようか」
「そですねーっ!じゃあ、バイバイ!浮気モノ♪」
そういって人混みに消えていく2人。
「はっ?!ちょっ、心優?!!」
「フフ…神崎も素直じゃないな」
そう笑うにっしーはとても綺麗だった。
あ、そっか。
2人は想いあってるんだね。
そう思うと、あたしも自然と笑顔になった。
「じゃあ俺たちはあのカフェでゆっくりしようか」
「あ、うんっ!」
そういって近くのこ洒落たお店へと向かった。