恋色季節
ガチャ…
「ただいまです…」
「あら、紗希ちゃん!おかえりなさい!」
そう笑顔で迎えてくれるおば様に、私は軽く会釈して自室に向かった。
パタン…
「…ふぅ」
かっこわる…
情けなくて笑いがでる。
別に理央にあんな顔をさせたかったわけじゃない。
「はぁ…」
ピロリロリン…
「……電話?」
着信:理央
でたほうがいいのかな…
考えても埒が開かないし、仕方なく電話にでることにした。
「…もしもし」
『っ!!紗希?!』
「違います。」
『…俺の下で鳴かされたいの?』
「はい、こちら紗希ちゃんです」
怖いぞ、中村
『今どこにいんの?』
「地球。」
『…何してンの?』
「座ってる。」
沈黙。
『…ちょっと出てきてよ』
「椎間板ヘルニアで立てない。」
『…来なきゃもっと腰痛めさせるよ?』
「何処に参ればよいでございましょうか?」
いつからそんなに黒くなったのか。
『ストリートテニス場。そこから近いでしょ?』
「…解った」
『早く来てよね』
「了解」
そういって通話ボタンを切った。
この季節まだあまり寒くはない。
むしろ風もまだ暖かい。
地球温暖化怖ェな…。
そんなことを思いながら、再びおば様に会釈し、玄関から出ていった。
会うのが怖い、別れ話かな?
さっきあんなにヒドイこといってしまったから…
なにいわれても、文句は言えない。