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恋色季節

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暖かいハズの風が、あたしの体を突き刺した。

ストリートテニス場に理央の姿は、ない。

一気に落胆し、近くにあったベンチに座る。

空…

碧いな―…。

―ピタッ…

「ひゃみゅぎゃうぉ?!!!」

「何その反応…」

振り返れば、愛しい彼の姿。

生意気に、笑ってた。

嬉しかった―

「オレンジジュース?」

ほっぺに冷たい感触。

その犯人は、私の大好きな、オレンジジュース。

「アンタこれ好きなんでしょ?」

「え…、何でそれを」



†††††

『で、まだこれ以上理屈こねるつもりなら…』

「…っ分かった!その代わりオレンジジュース奢って…?」

『何考えてんの?』

「あ、ハイ。そだよねー…」


†††††



「まさか…」

「忘れるワケないじゃん?好きな人の好きなモノ」

「…っ」

涙が出そうになった。

「ありがと…」

「別に」

あ、理央はやっぱりファンタなんだ。

「不安にさせてごめん…」

「うん、死ぬ気で謝って?」

そういうと理央に睨まれた。

普通の理央だ。

それが妙に、嬉しかった―…。

「で、理央。私に何を隠してんの?」

「…は?」

間抜けな顔をする理央。

「騙し通せるとでも思ってたの?」

「…っ」

眉根を寄せる。

やっぱり何か、あるんだね…

何で…何でいってくれないの?

あたしは…そんなに信用できない―…?

「悪いけど…アンタの思ってるような理由で言わないんじゃないから」

「…へ?」

今度はあたしが須っ頓狂な声をあげる。

そんなあたしを見て理央は優しく笑った。

「信じて無いから言わないんじゃないよ…
信じてるから…言えない」

「ど…ゆ意味?」

そういうと、黙らせるように口を塞がれた。

理央の唇で

グレープの味が口内に広がる。

「ん…っぅ…っ」

初めてのDキス…。

激しくて、息が出来なかった…。

何だか、執着心溢れるキスだった。

理央の背中をドンドンと叩く。

やっとのことで唇を離してくれ、酸素を取り入れることを許された。

「っはぁ…は…っ」

「…紗希」

「…っ」

耳元で囁く理央の声に

翻弄される。

「明日…部活休みなんだ…
約束してたよね?デート」

「…明日?」

「うん」

「行く…っ!!行きたいっ!!」

理央のたったヒトコトで一気に心が晴れ渡る。

景色が一気に明るくなる―…。

そっか…それだけあたしの心は理央で いっぱいなんだ…

離れることなんて…考えられない…その時、そう思ってたんだよ理央…

ベンチに座るあたしたちを、まだ暖かな風が撫でてくれた―…。

作品名:恋色季節 作家名:紗智