恋色季節
霜月
「理央」
「…」
「…理央」
「…」
「…理央」
シカトこいてんじゃねぇよ
最近理央の元気がない。
話していても上の空。
ここのところ、笑顔なんか全く見てない。
なにより印象的だった、あの悪戯な笑顔さえも…
「理央…」
「…」
下校中も、さっきから空ばかり見上げちゃってさ。
「…キライだ」
「…は?」
「嘘。」
やっと反応してくれた。
「さっきから何回呼んだっと思ってんだよ、チビ」
「…もうアンタよりチビじゃないから」
そういって頭をポンとこずかれる。
「ほんの数センチじゃんか」
「…それでも俺の方が目線は上だし」
またそっぽをむく。
もう目も、合わせてくれないんだね。
「あーあ…遠いな…」
「何が…?」
「キミが…理央が遠い」
泣いたらダメだ。
「もう好きじゃないんなら…そう言ってくれたらいいじゃん?」
「ちょっ…何いってんの?」
「日本語だ」
そういって理央を睨みつける。
「俺がアンタから目を移すなんて、ありえないね」
「…っじゃあ!!何で最近目をあわせてくれないの?!笑いかけてくれないの?!
まるで…っあたしといるのが苦痛みたいじゃんっ!!!!」
「っ!!」
目を見開く理央。
否定の言葉は、ない―…。
「も…いい…
好きだよ…理央」
「…っ」
グイッ―…
何でそんな顔をするの?
何でそんな目をするの?
何でこんなに、優しいキスをくれるの―…?
ワ カ ラ ナ イ
「…っ!!離してっ!!」
「好きだよ、紗希」
「だからもういいから…っ」
勘違いする…
そんな優しい、瞳でみられたら―…
「ばいばい理央」
あたしは振り返らずに、その場から走り去った。
自分が、滑稽だ。