恋色季節
心優に天界を見学に行ってもらい、結局理央の家に行くことになった。
「てか、ピンポンして親とか出てきたらどーしよ…」
そんなことを考えていると、もうお寺についてしまった。
そこから聞こえてくる聞きなれたインパクト音…。
―…誰かテニスやってるのかな?
そういえば、理央前自分ちにテニスコートがあるとかいってたような…
金持ちだな
お寺の階段を一段ずつ上るごとに、鮮明になっていく音。
それと比例し、心拍数も上がっていく。
「オラァ!理央!何だそのへなちょこサーブはあっ!!」
「…っさい…っ」
「ウルサイとはなんだウルサイとはぁ!!
つか、手首が固ェぞ!!もっと柔軟に使え!!」
「…っはぁ…解ってる…っ」
テニスコートにたどり着いて最初に見たもの…
初めて見た理央の余裕のない動き―…。
理央は私に気づいていない。
それほど目の前の相手に集中しているんだろう。
そんな初めての理央の姿を見て、少し嬉しくなった。
「…?」
あ、オジサンは気づいたみたい。
あたしは軽く会釈した。
するとオジサンはニカッと笑って手を振ってきた。
余裕だな…。
汗だくな理央に対し、全く息も乱すことなく、しかも余所見をして手まで振っている。
あの理央を相手に―…
あのオジサン何者?
「女の子が見てちゃあ、手加減は出来ねェなあ!」
「な…っ!!」
ズドンとラインギリギリのところにボールが目にも止まらぬ速さで落下した。
「まだまだだな、青少年」
「っ…くそ」
その激しいスマッシュに、あたしは呼吸することさえ忘れていた。
だから、ね?
意識が戻ったときには窒息死寸前たいな?