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恋色季節

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「なぜ急に…」

出てくるのは疑問符ばかり―。

なぜなら

目の前には、真夏の炎天下。

輝かしい太陽の下、見渡す限りに広がる輝かしい海とビキニの姉ちゃんたちの群れ。

「泳ぐの?」

「クス…水着もないのにどうやって?」

理央君ヘルプっ!!

「理央君の露出狂!」

冷やかしに冷やかす心優。

今にもキレそうな理央の表情。

「いや、本当なんで?」

それを聞き、心優は瞳を輝かせた。

「砂浜のビキニ姉ちゃんの鑑賞したくてさっ!!」

「逝ってらっしゃい。」

てか

巻き込むなヨ。

「冗談はおいといて。
じゃあ僕たちジュース買ってくるね。中村は紗希ちゃんとお留守番」

「…ウィース」

あんまりノリ気じゃない理央。

そりゃそうだろ。

屍状態で縄で引っ張られ海へと強制連行されたのだから。

2つの嵐がさってまた海を見渡す。

見渡す限りの碧い碧い海が心を癒してくれる。

「紗希」

「…ほわにゃっ?!」

海に見入っていたため、突然の理央の呼び掛けに反応が遅れた。

「紗希ってさ、
俺のこと好きでしょ」

さて、耳屋さんに行こうかしら。

「ね、素直になりなよ」

ニヤリと妖笑し、挑発的な瞳で私を見据える。

「…知らないべ」

「あーあ、前の紗希…凄く積極的だったのに」

どんなだあたしっ!!

あたしたちの声は碧い海とビキニの姉ちゃんたちの共鳴に掻き消された。

「でさ、結局どうなの?」

顔真っ赤

そういって口の端を上げ、左手で私の顎を捕らえる。

「っ…」

目を直視できねぇッ!!

彼は全くもって余裕の笑みをこぼしている。

「早く治ってよね。今の紗希じゃ…
昔の続きできないじゃん」

は?

だーから

どこまで進んでたのあたしらはあッ!!

余裕な理央の笑みに、どんどん取り繕ったポーカーフェイスが崩れていく。

「理央は…」

「え?」

ポカンとする理央。

オイラの気持ちが分かったかにゃろう。

「理央はあたしのこと…どう思ってるの?」

出来てる?

挑戦的な瞳。

ときには、生意気な貴方を翻弄させてみたいじゃん?

「…」

理央は何も言わず、また黒くニヤリと笑った。

そして

今まで捕らえられていた顎を一気に引き寄せられ

あたしたちにしか聞こえないリップ音が響いた。

触れる程度のキス―…。

ほんの数秒間のことだったのに、本当に永く感じられた。

作品名:恋色季節 作家名:紗智