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恋色季節

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―ガラッ!!

「紗希坊ーっ!!お見舞いに来たゼイ!!」

「クスッ…久しぶりだね、紗希ちゃん」

「…思うんだけど、神崎先輩まで来ることなかったじゃん」

来た。

病院側にとって一番きてほしくないであろう2人組登場。

「失敬なっ!!人種差別はよくないよっ!!」

「ちょっと使い方間違ってるかな?心優」

「でも、俺らと同じ人種じゃないから同じようなもんじゃん」

あーあ

心配しないで理央

骨は残るよう頼んであげるから。



†††††

「ところで紗希ちょんっ!!今から行きたいトコあるんだけどっ」

「逝ってらっしゃーい」

「クスッ…つれないな紗希ちゃん」

「い、いや…」

あたし…

泡吹いてる人を置き去りにできるほど冷酷無比な人間にはなりきれないんで。

「でもでも!すっごくいい所なんだよっ!!行こうよっね〜ぇっ」

幼稚園児かアンタは。

「行ってみようよ、気晴らしにもなるんじゃないかな?」

あのー…神崎先輩?

その爽やかな笑顔…

脅迫にしかみえないのは私だけでしょうか…。

「外出許可…」

「もうとったから」

爽やかに笑う神崎先輩。

医師を脅したのか…

はたまた

看護師を落としたらのか…

どちらにせよ、やはりこの人には逆らってはならない―。

「いこっかな…」

断って理央の二の次はごめんだ。

ご丁寧に願い下げだ。

葛藤を続けるあたしの前では、神崎先輩と心優が妖笑していた。

綺麗な顔の人が冷酷に微笑むことほど恐怖を掻き立てるものはない。

そう実感した紗希ちゃんでした。

作品名:恋色季節 作家名:紗智