恋色季節
「にっしーはテニスやってるんだーっ」
「そう。一応部長なんだよ」
「マジでかっ?!」
凄い凄いとぱちぱち拍手を送る。
やっと分かった
にっしーの瞳
その強さの理由。
そして
不安そうな理由―。
ぎゅ―…っ
「っ紗希ちゃん?!」
驚き焦るにっしー。
あたしとにっしーは…
似てると思った。
「大丈夫。」
だから、あたしがいま一番欲しいことばを貴方にあげよう。
「大丈夫。
また
またやり直せるよ」
震えるにっしーを
力いっぱい抱きしめた。
にっしーも
抱きしめかえしてくれた。
分かってくれたのは
君だけだ
同情なんていらない
その言葉が
その言葉だけが
欲しかった―…。
優しい風に煽られて
あたしたちは不安を風にのせ
光を求めることを誓った。