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恋色季節

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―ガチャ…

光が漏れる。

あまりの眩しさに、思わず目を細める。

そこであたしは

天使を見た。

この天使さんが

これからのあたしを大きく左右するなんて

今のあたしは

微塵にも思わなかった。

「君は…?」

優しい声が

優しい風にのって

あたしの耳に届いた―…。

「あたしは…二宮紗希…というらしいです」

この人は

信用できる気がした。

強さと優しさ

そして

少しの不安を抱えた瞳が

疑心をあの優しい風のように取り払った。

「?…というらしい?」

疑問符を浮かべる少年。

「記憶喪失…なんです」

「あぁ」

つじつまがあったように頷く。

天使さんは

綺麗に

微笑んだ。

「あなたは?」

その笑顔を見て

何故か

無性に知りたくなった。

「俺は、仁科…仁科雄一」

そう言って

また

笑みをこぼした。

「にっしー…」

「え?」

とても驚いた顔をする。

とても

おもしろくなった。

「にっしー!
ねっ、似合うじゃん!」

あたしも君の真似をする。

しあわせそうに

にっこりと

笑ってみた。

「フフ…ありがとう」

嬉しそうににっしーは笑った。

「なんだか、君とは仲良くなれそうだな…。
紗希ちゃんだっけ?」

「にっしーは面白そう!これからよろしくね」

「フフ…こちらこそ」

それから他愛もない話をし、過ぎ去る時間をとても短く感じた。

光をもとめたことを

後悔しなかった。

作品名:恋色季節 作家名:紗智