恋色季節
ガシャ―…
思わずフェンスに手をかける。
目の前で飛び交う黄色い球体に
魅せられる―。
気持ちいいくらいのラケットから発せられるインパクト音。
テニスって、こんなにも…
魅せられるものだった?
「中村っ!!そろそろ持ちかえろよっ」
「…イイっスよ」
ドキ―…
こちらをちらっとみた理央。
顔が熱くなる―。
病気?
そう思わざるを得ないほど
心拍数が上昇する。
「後悔…しないでね?」
ドキッ…
また…
心臓が跳ねた。
あたし…
テニスに魅せられてる?
それとも、 理央に魅せられてる?
クラ―…
「…っ」
また
視界が歪んだ…
「…白石先輩
悪いけど早く終わらせなきゃいけなくなったみたいだから…
覚悟してね?」
そう言う君の
射抜くような視線…
挑戦を恐れない
むしろ
楽しむような瞳をみた瞬間―
あたしの記憶が途切れた―…。