恋色季節
ピロリロリロリロリロリロリロ....
「あ、紗希ピョン着信っ」
「出るな。」
「ほぇ?でも…」
「出るな。」
ギロリと睨む。
それにたじろぐ心優。
「でももし中村からだったら出ないほうがキケンだよ?」
「出てもキケンだよ…」
「…。」
―確かに。
「でもでも!出なきゃその倍…んや2乗はくるかと…」
「やーだーっ!話したくないもんっ」
ピッ…
「もーしもーし♪心優ちゃんでーすっ!」
『…は?』
「なっ!ちょちょちょちょっ!!ギャーっ!!」
「うふ♪」
小悪魔心優ちゃん降臨―。
「もしもーし…」
心優から携帯を奪い返し、心優の自室の外で会話。
否、対話―…。
『ねぇ、明日部内の練習試合があるんだけど来るよね?』
あ、もう"勧誘"じゃないくて"確認"なんだ。
「あーごめん!明日おばあちゃんの法事があるから…折角だけど」
申し訳なさそうに謝罪してみる。
ごめんおばあちゃん!
使ってごめんっ!
まだ庭を犬と駆け回るくらいお元気でいらっしゃるのに…っ
しかーし!!
此処でこうでも言わなきゃ絶対道連れだ!
折角の休日が…っ!!
ということで紗希ちゃん女優になってみます!
口頭演技は得意ですから。
ふふん、と心の中で余裕をかましてみる。
しかし、理央からの返答は意外なもので…。
『は…?さっきアンタのばあちゃんスーパーで見かけたけど‥。』
「ウソっ?!タイミング悪いよおばあちゃんっ!!」
『ウソ。元気でなによりだね、アンタのおばあちゃん。』
―…。
『で、まだこれ以上理屈こねるつもりなら…』
口角の上がったような声が機械を通じて耳に伝う。
「…っ分かった!その代わりオレンジジュース奢って…?」
『何いってんの?』
「あ、ハイ。そだよねー…」
いや、期待はしてなかったよ?!微塵たりとも!
『じゃあ明日。朝10時にテニスコートで』
「了解です。あ、心優もいい?じゃなきゃ身投げする…」
『…好きにすれば?』
「やったあーっ!!ありがと理央っ!」
『‥はいはい。じゃーね』
「ばいばーいっ」
気分良くして通話終了。
初めて気分よく終われた気がするのは私の気のせい…?
ま、いっか!