恋色季節
「あ〜ぢぃ〜…」
梅雨もあけ、日差しもだんだんと強さも増す。
只今、心優の家で実力テストに向けお勉強中。
「『あちぃあちぃ』ゆっても涼しくはならんとよ心優ちゃん」
「あぁーっ!そこはあえて触れちゃいかんとよ!紗希おばちゃんっ」
「誰がおばちゃん?」
「いやぁ、喋り方とかイントネーションとか」
「誰がおばちゃん?」
「ごめんなさいすみません謝るのでどうかカッターを所持らないでっ!!」
下敷きでパタパタあおぎながらカッターを構え
心優を絶対零度の微笑みでみつめる。
否、睨むといったほうが妥当だろうか。
「あっ!ねぇ紗希」
何か閃いたように目を輝かせる心優。
「そんな小学生がサッカーボールを見てキラキラしてるような目で私を見つめないで。」
怪訝そうに目線だけを心優に送る。
「いやぁ、理央君とはどこまで進展なさったのかなあって」
「五体バラバラに引きちぎられたくなければその可愛いお口を閉じなさい?」
「惨…っ」
うえ〜っと下をだし、怯える様子をみせる。
「だってあたしは紗希っちのママンだもん!恋の応援をするのはママンの役目だもん!!」
「今時母親に恋の相談を持ちかける子供がいたら拝みたいね」
「…ねぇ‥紗希ちゃんキャラ変わった?」
「紗希ちゃんはキャラの壁をものともしない少女なのサ」
ハハハハハ。と笑い出す紗希。
―紗希に何をしたんだ中村っ!!―