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舞うが如く 最終章 5~6

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 「なるほど。
 あなたはそれほどまでに、
 罪深い、おなごにあたるのですか?」


 「はい、そうなると存じます。
 性分というよりは、性(さが)にあたるかも知れませぬ。
 好みと有れば、すぐに親しくいたしまするゆえ、
 誤解の向きも多々にございます。
 巷でも、常より
 恋多きおんなとも、慎みが足らぬとも、
 口々に言われておりまする。」


 「あなたは何事においても、つつみ隠さない性格ですね。
 熱情的すぎる生き方とでも、褒めるべきでなのでしょうか・・・
 私には、とうていに
 真似のできない生き方です。」

 「褒められる生き方をしているとは、当の本人も承知をしてはおりません。
 ただこの身の中で、女の血が無性にたぎる時がありまする、
 琴様には、ございませぬか。」


 「タケどのとは、少々異なるようにありまする。
 私は、自分からは迫りませぬ。
 幼き頃より、自分より弱い男のもとには嫁がないという一念だけで、
 武芸の世界に生きてまいりました。
 時には一人前に、紅などもさしたことはありましたが、
 それ以上の事は何一つありませんでした。
 剣に明け暮れたあまりに、
 私は、女を磨く事を忘れてしまったようです・・
 ゆえに、わたしはこの歳になっても
 いまだにの、一人身なのでしょう。」


 「琴さまは、
 ご見識といい、容姿といい
 おなごから見ても、申し分がないと、思われまする。
 なにゆえの、一人身にございまするか。」


 「縁(えにし)ある殿方は、
 いちようにして、死に別れをいたしました。
 おなごから、心底惚れられたことも
 ございまするが・・・。」


 「まァ…」


 「生き方は十人十色。
 あなたも咲も、まだまだこれからの人生にありまする。
 私はもう、それを見守るだけの立場です。
 あなたたちは、新しい時代の中を、
 己だけをひたすら信じて、乗り切らなければなりません。
 私は薙刀で、ひたすら己の身体を鍛えてまいりましたが、
 これからの時代は、おなごにも、
 心の鍛錬が必要とされるようありますね。
 強くしっかりとした心を持つことができるようになれば・・・
 もしかしたら、いつの日か、
 おなごの時代が来るかも、しれませぬ。」