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20日間のシンデレラ 第2話 お前は一体、誰なんだよ

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生徒B 「だめだ! 俺のデッキにはこいつが必要なんだよ」

生徒A 「いいじゃんかー な? 俺のラーバモスもなかなかいかすんだぜ」

生徒B 「それって、最弱モンスターじゃん」

生徒A 「ぐっ……」

生徒B 「それより知ってるか? この学校の七不思議の一つで、夜中にこの上の屋上の方から化け猫の呪われた泣き声が聞こえてくるらしぞ」

階段の上を指差してけらけらと笑っている生徒B。

生徒A 「ぎゃーっ! お前そうゆうのやめろって」

喧騒の中、その一連のやりとりを聞いて思わず頬が緩む陸。

  陸  「(何か……懐かしい会話してるな……)」

他の生徒達と同じように階段を下りていく。


〇2F 階段

   
ぞろぞろと階段を下りていく生徒達。


〇1F 廊下


三年生と一年生も合流して玄関に向かう廊下は生徒で一杯になる。

ふと視線の先に夏美と会話しながら歩いている花梨の姿を見つける陸。

  陸  「(過去に戻るという事は当時のあいつと再び会うという事。 そんなこと最初からわかっていたけれど、それでも緊張が止まらない……結局、今日は話かけられても混乱してしまい会話という会話にならなかった……ちくしょう、勇気を出せ俺! もう一度、あいつと学校生活を過ごせるチャンスじゃねぇか)」

生徒を掻き分け早歩きになる陸。

花梨との距離が縮まる。

  陸  「(もう同じ過ちは繰り返さない。 自分に正直に行動するんだ……そして今度こそ花梨に俺の……)」

花梨まであと三歩、二歩。

手を伸ばしながら、

  陸  「なあ、花……」

そう呼びかけた瞬間、陸の肩にぽんっと手が置かれる。

何かと後ろを振り返る陸。

清水の顔。

これでもかってぐらい陸の顔との距離が近い。

無表情からにこっと笑うと、さっと体勢を低くして陸の股の間に頭を入れる清水。

そのまま立ち上がり陸を肩車した状態になる。

急に高く持ち上げられ驚く陸。

  陸  「えっ……ちょっ……」

バランスがとれずふらふらしている陸。

清 水  「陸……あっそびに行こうぜぇーーー」

その体勢のまま全速力で走る清水。

陸の体が仰け反る。

  陸  「ぎゃーーっーー」 

悲鳴をあげている陸。

清 水  「どけどけーっ!」

生徒を掻き分け、あっという間に玄関へと消えていく二人。

その光景を見ていた花梨と夏美。

夏 美  「ほんとあの二人って問題児だよねー清水はスケべだし出雲は喧嘩っ早いし」

冷静にぼそっとつぶやく夏美。

ふふっと笑う花梨。

夏 美  「花梨、どうしたの?」

首を横に振りながら、     

花 梨  「ううん、何でもない。 ただ……馬鹿だなって思ってさ」


〇運動場


生徒達の声。

日は段々と傾いてオレンジ色に包まれている。

カラスの鳴き声が遠くで微かに聞こえる。

校舎はほとんどの生徒が下校している為、人の気配がしない。

対象的に騒がしい運動場。      

勢いよく動き、ざざっと急に止まる生徒の足元。

それを何度も何度も繰り返す。

砂埃がもわっと舞っている。
 
下靴のかかとで地面にこすり付けて書かれた、大きな長方形の線。

真ん中に一本線が引いてあってそれぞれの陣地に生徒が分かれ、激しい動きをしている。

真っ白とはいえないボールがお互いの陣地を飛び交う。
      
清 水  「何やってんだよ陸ーー反撃しろ、反撃!」

外野から清水の声が響く。

前田と米川も清水の後に続き陸に声をかける。

内野は陸ただ一人、残りは全員アウトになり外野にでてしまっている。

必死で敵の攻撃をかわす陸。

ボールは陸を挟んで、敵チームの外野から内野へ、内野から外野へ。

  陸  「(くそっ、思うように体が動かない。 ドッヂボールってこんなにも難易度高かったか? よけるので精一杯だ……)」

敵の内野、ボールをぱすっと受け取りながら、

五組生徒  「おいおい、逃げてばっかいるんじゃねぇよ。 四組はヘボクラスか!」

陸を挑発する五組生徒。

  陸  「うっせーー早く投げやがれ!」

にやっと笑い陸めがけてボールを投げる五組生徒。

  陸  「(ちくしょう……今度は絶対取ってやる。 ボールをよく見るんだ。 ドッヂボールは俺の得意分野だったじゃないか。 …………今だ!)」

ボールを取ろうとする陸。

しかし、急に角度が落ちて陸の足に当たる。

ころころと地面を転がるボール。

五組生徒  「よっしゃー、一勝!」

敵チームで歓声が上がる。

呆然と突っ立っている陸。

陸の下に駆け寄ってくる清水、前田、米川。

前 田  「どうしたんだよー陸」

前田が心配そうに陸に声をかける。

清 水  「あぁ、お前なんか今日動き悪くねぇか?」

米 川  「ふんっ、そんな事では未来の米川カンパニーの社員にふさわしくないな」 

偉そうに声をかける米川。

  陸  「悪ぃ、ちょっと調子が悪いだけなんだ。 次こそ五組をぎゃふんと言わせてやるよ」 

          ×            ×           ×

清 水  「陣ボーじゃっしんホイ!」

五組の代表と清水がじゃんけんをする。

五組の生徒パー、清水チョキ。

勝利した清水、ガッツポーズをとりながら、

清 水  「ボー」

そういって陣地かボールの二択の内、ボールを選択する清水。

清水にボールを投げ渡す五組の生徒。

清 水  「よっし、いくぞー」

掛け声とともに外野の前田に大きくパスをする清水。

それを合図に全員が俊敏な動きで自分の配置につく。

パスを受け取る前田、近くにいた五組の生徒にシュートを放つ。

ボールが当たるぎりぎりの所で大勢を低くする五組の生徒。

頭にボールがボーンと当たる。

五組生徒  「頭はセーフだろ」

へへっと笑い、立ち上がる。

残念がっている前田。

すぐさま勢いをつけてボールを放つ。

ボールは陸の方へ。

受け止める体勢をとっている陸。

その瞬間、横から清水が飛び込んできてボールを受け止める。

驚いている陸。

さっと片手で陸にボールを手渡して、

清 水  「打てよ」

うなづきながらボールを受け取る陸。

半歩下がり、助走をつけながらシュートを放つ。

ボールは逃げようとしていた生徒を捕らえようとしている。

  陸  「(捕らえた!)」

しかし次の瞬間、正面を向いてまたしてもボールを受け止められる。

  陸  「くそっ」

すぐさま助走をつける五組の生徒。

大きな声で、

五組生徒  「いっくぞー」

そして大きく飛び上がる。

身構える陸。

  陸  「(ジャンプシュートか……今度こそ!)」

五組の生徒のシュートは勢いのあるものではなく、手の先からぽろっと陸の方に向けて落とされる。

目を見開いている清水。

清 水  「ばっ、馬鹿! フェイントだ!」

えっと驚いている陸。

勢いのないボールが陸の腕に当たる。

沈黙。

ははっと急に笑いだす陸。

そのまま外野へとかけていく。

清水、陸の背中めがけてぼそっと、