僕の村は釣り日和11~フィナーレ
この川の流れも、夏休みに僕がカサゴを釣った海へと流れ込み、水蒸気となった海水は、再び雨となって川になる。
そうだ、僕たちの人生は長い。そんなことを思っていると、ウキが沈んだ。
ククッと伝わる小さな生命の感触を楽しむ。抜き上げられた金色のくすんだ魚を愛しそうに撫でると、水へと返してやる。
隣では小野さんも、東海林君も、そして皆瀬さんも次々とアブラハヤを釣り上げていた。
今日も絶好の釣り日和だ。
(了)
作品名:僕の村は釣り日和11~フィナーレ 作家名:栗原 峰幸