神様ソウル
「相手は運命です。どんなことが起こるかわかりません。片時も彼女から目を離してはいけません。そして常に周囲を警戒してください」
「わかった」
「決められていた時刻に起こるべきことが起こらなかった時、運命はそこで生まれた不自然を正そうと動きます。目の前の事象を回避すればいいわけではない、というのはそういう意味です」
「なるほど」
「しかしある一定のラインを越えるとその不自然を是正しようとする運命そのものが不自然と扱われ、運命はその不自然から手を引きます。つまりひたすら彼女を守って守って守りまくれ、ってことですね」
「……守る上で何か気をつけておくべきことはないか?」
「ふむ、そですね。やっぱり周りに人や建物がなく見通しがいい場所がいいんじゃないでしょうか。予想のつかない動きをするものがあるのは少し大変です。こんな感じかな」
「なんだかんだで色々教えてくれるんだな」
「む、なんですかその言い方は。まー、運命の管理は私の仕事じゃないし。それに適当に助言して後で課長に責められるの嫌ですもん」
それに、と彼女は苦笑して付け加えた。
「そういう頑固なとこ課長に似てるなって思って。あの人、一度いい始めたら全然話聞かなくなっちゃうから。あの人が正しいって言ってものごとが悪い方向に転がったことってあんまないんです。だからヒロトさんのこと、信じてみようかなって思いました」