神様ソウル
午後の授業が終わり、僕は帰り支度を整えていた。
「里見くん!」
窓際の席からまゆみの声が聞こえた。カバンを肩にかけて小走りで僕の席に近づいてくる。
「ん、どうした?」
「今日放課後ヒマ?私これから本屋行く予定なんだけど。里見くん本好きだったでしょ。一緒に行かない?」
「あ、あーちょっと今日は……」
「あ、都合悪かった?」
彼女の誘いは非常にうれしかったのだが、それを受けることは不可能だった。帰りのホームルーム中にテミスから「放課後話をしたいので時間を作ってください」と書かれたメモ帳を渡され、了承してしまっていたのだ。
「申し訳ないけど……」
「また転校生?」
「……まぁ」
「……仲いいんだね」
「別に、麻倉が考えてるようなものはないよ」
「ふーん……。じゃ、明日の放課後は空いてる?」
「おお、空いてる空いてる」
「けってー。明日の放課後は空けといてね。楽しみにしてるから」
「ごめんな」
「いいよ。代わりに明日なんか奢ってもらおうかな。じゃまた明日」
「おう」
テミスとは校門を出てしばらく歩いたところにある公園で待ち合わせをしていた。
「おっそいですねー。また寝てたんですか。睡眠薬の服用は体に悪いですよ。」
「やかまし。で、なんの用なんだ?」
「特別用事があるというわけではないです。ただあなたを監視する必要があるので」
「おい用事ないのかよ!僕はお前のためにちょっと気になるクラスメイトからの誘いを断ったんだぞ!ふざけんな!くそが!」
「うわーしばらく見ない間にめんどくさい人になっちゃいましたね……」