神様ソウル
僕が眠っている間に茅ヶ崎優花の噂は学校内全体に広がっていたようだった。
昼休みが終わる直前に二人で教室に戻るとクラスメイト(主に男)達が僕を押しのけてテミスに群がり、質問の嵐を浴びせかけた。確かに、休み時間の度にこんな風に囲まれていたら誰かに助けを求めたくなるのもわかる。ご愁傷さま。
「里見くん。今茅ヶ崎さんと一緒に歩いてたでしょ?」
「うお、びっくりした」
まゆみが僕の後ろから現れ隣の席に座った。眉をひそめていてやや不機嫌な様子だ。
「あの子色んな人たちから昼食一緒にって誘われてたのに頑なに断ってたからどうしたのかと思ってたけど、里見くんと一緒にいたのね。何してたの?」
「あーちょっとね」
「ふーん……なんかいやらしい」
「なんでだよ。ちょっと屋上で話しただけだよ」
「屋上で?二人きり?今日知り合ったばかりの転校生と?」
「……うん」
「……うーわ。いやらしい」
「なんでだよ!」
「まぁ口説くのはいいけど程ほどにしなよ。物凄いかわいい転校生がいるって噂でもう学校中持ちきりだから。抜け駆けしようとすると刺されちゃうよ」
「……そんなバイオレンスな」
「比喩だよ、ひゆ。まー気をつけなさい」