DARADALife
(完全に誤算だった。ホームレスだとタカをくくっていたのもそうだけど、だからってあいつ速すぎだろ、時速何キロだよ。僕の百倍速いだろ。…それはないか、僕の百倍って10km六秒じゃん。てゆーかゾンビって普通遅いって思うじゃん。あいつなんだよ、シャーマンキングのキョンシーかよ。ダオダンドーもびっくりだよ!!)
なんてことを考えているうちに、ゾンビ…いやこれからは奴の事は、ダオダンドー(仮)と呼ぶことにしよう。
ダオダンドー(仮)は、彼女に今まさに襲いかかろうと…しているわけではなく、一緒に来てくれないかと、誘っているように見える…てゆーかあいつ喋れるんだ。あくまで合意の上でということか、意外と紳士なんだな。ますますゾンビらしくない。
(といってもゾンビにナンパされてもあの娘も怖いだけだろうし…うわっ!やっぱりめちゃめちゃ怖がってるじゃん。)
彼女はダオダンドー(仮)の言葉など全く聞かず、ただただ悲鳴をあげて震えるだけだった。なんか少しあいつが可哀想に思えてきた。
(でもこのままにして置くのもなー。説得する?でもあいつ僕のことなんて眼中にない感じだし。うーんどうする?…てゆーか僕さっきあいつにボコボコにされたんだった…だんだんむかついて来たぞ!そうだよあんなやつ説得なんて必要ないじゃないか。半殺しにして黙らせればいいんだ。さっきだって油断してただけだ、本気を出せばあんなダオダンドーもどき。)
僕は先ほどのこともあり、ダオダンドー(仮)にたいして怒りを隠せなかった。体も動くし、行くしかない!!
僕は近くにあった鉄パイプでダオダンドー(仮)に襲い掛かった。
(気付いてない。いける。)
渾身の力で鉄パイプを振り下ろす。僕が全力で鉄パイプを振り下ろせば、人の首なんて簡単に吹き飛ぶ、ましてや速いだけのダオダンドー(仮)なんて。
鈍い音が辺りに木霊する。鉄パイプが直撃した音だ。
(よしっ!クリティカルヒット!終わったろ…やりすぎたかな?)
ダオダンドー(仮)の身を案じている僕は、やはりまだまだダオダンドー(仮)ことが分かっていなかったのだろう。ダオダンドー(仮)は僕の予想の遥か上を行く怪異だった
速いだけなんかじゃなく、全てにおいて僕の上を行く、正しくダオダンドーだった。
作品名:DARADALife 作家名:齋古翔太