DARADALife
話は戻って5分前。
(このホームレスも可哀想になぁ。この娘に手を出したばっかりに、この僕と戦う羽目になるんだから。確かに見た目は、根暗なオタクに見えるかもしれないが、1%以下とはいえ狼男の力が僕にはあるんだ。たとえこのホームレスが元格闘家だとしても、僕なら勝てる…さぁてどのワザで倒してやろうかなぁ。)
僕はゲームのしすぎで、現実でゲームのワザが使えるのだ。ケンシロウの夢想転生だと思ってくれれば、分かり易いと思う。
(そうだ!こういう時は前口上で格好よく極めて、彼女のハートをがっちり掴もう!)
思ったことは、すぐに実行するのが僕のポリシーだ。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。美少女を襲う悪党は、この一九が成敗してやる!」
特撮ヒーローの登場シーンのようなポーズで、中二臭い台詞をはく僕。
(決まった!これで彼女は僕にメロメロ。)
どんな顔をしているのか確認しようと、彼女のほうを振り返ると、そこには顔を真っ青にして口元を押さえる逆さまの彼女がいた。
(なんで逆さなんだ?ていうかどうしてそんな顔をしてるんだ?あれ?あのホームレスは?)僕はホームレスに、気付かないうちにぶちのめされたのだ。
そこから先は、最初の通りだ。正直に言うとそのときの僕は浮かれていた。待ちに待ったエロ本が手に入ったのと、謎の美少女に頼りにされたこと。この2つの出来事が僕のテンションをおかしくさせていたのだろう。
以上回想終わり
作品名:DARADALife 作家名:齋古翔太