DARADALife
それは一瞬のことだった。裏路地に入って直ぐに僕は得体のしれない悪寒におそわれ、ペダルを漕ぐ足を止めた。
なんだろう?空気が重い?冷たい?いやそんなレベルじゃない。家に帰ったら隠していたエロ本の位置が少しずれていたときの感覚にも少し似ている。
そんな邪な不安とは裏腹に少し僕は胸騒ぎがしていた。
しかし、本のことで頭がいっぱいな僕は、直ぐその不安から感覚をそらし、かわりに先ほど苦労して手に入れた戦利品に注意を注いだ。
(ここで読んでみるか?思えば外でエロ本を見るなんて、初めてだもんな)
周りは街灯がほとんどなく、月明かりで辛うじて2m先が見えるくらいだ。普通の人なら絶対にこんなところでエロ本なんか読めない。
いや、訂正しよう。普通の人ならこんな場所ではエロ本は読まない。まぁ、どちらにせよ、こう暗くては読めるものも読めないだろう。
しかし、僕には読める。生まれた時から特殊な体の構造をしておりこんなに暗い中でも難なく物が見えるのだ。
(さてさて、ではお手並み拝見と行きますか)
自分でも恥ずかしくなるようなセリフを心の中で呟き僕は、本の袋に手をかけた。その時、
作品名:DARADALife 作家名:齋古翔太