DARADALife
-ドンッ-
「っ~~~~てぇー」
何かが急にぶつかった衝撃で自転車は倒れ、俺の下には、何かあったかくて柔らかいものがあった。
しばらくの沈黙の後、俺の下の物体がフルフルと震え始め、そして今にも消えりそうな声で、一言、
「………手をどけてもらえますか?」
(すごいな、最近のエロ本は飛び出す上に喋るのか。日本の技術パねー!!もう少し揉んでおくか)
……なんて事があるわけもなく、ただ単に女の子が僕にぶつかってきただけだった。
最悪の出会いだ。これが、もしエロゲの1シーンなら、これは考えうるなかで一番最低な出会いだろう。
なんたって、胸を鷲掴みにしてる。下にいる彼女の胸をだ…、
「ごめっ!!その、決して君の胸を鷲掴みにしようとしてこの位置にいたわけじゃなくって、って僕何言ってんだろう。とにかく、ホント、すみませんでした」
平謝りとはまさしくこのことを言うのだろう。しかし、彼女の返事は意外なものであった。
「助けてください。変な奴に追われてるんです。助けてくれたらさっきのことも許しますから。お願いします」
さっきまでの声とはうって変わって、甲高い声で喚いている。かなり気が動転しているようだ。急に恐怖がよみがえったようだ。
(マジか!だったらもっと揉んどけばよかった!!……それはおいといて。)
もちろん、さっきのことを許してもらえるならなんでもするつもりだ。
(でも、この驚き方は異常じゃないか?まるでゾンビにでも襲われたみたいだ……ってそんなわけ!!っってなんだあれ!!!!!!)
そこには如何にもゾンビですというような風貌の男がいた。
(おいおい!まさかこいつが!ゾンビ……ってそんなことあるわけないか。ただの汚いホームレスだろ。だいたい妖怪なんているわけ……って僕がそうだった!!)
これが僕が初めて出会った僕以外の怪異だった。
作品名:DARADALife 作家名:齋古翔太