DARADALife
茹だるような熱気に包まれている夜の街。僕はその中を軽やかな足取りで目的地を目指す。
僕が向かっているのは家から徒歩10分の書店だ。書店といってもただの書店ではない。エロ雑誌や18禁コミックその他の類を取り揃えている所謂、大人のお店だ。
(待ちに待った物がついに発売だ。しかし、10時過ぎだって言うのに結構な人数が居るなぁー。………もしかして、こいつらも例の代物を狙っている奴らなのか?)
だとしたら、これは買えない奴が出てくるかもしれない。
そんな焦りから、僕は急に汗をかき始めた。店員が気を利かせてクーラーの温度を下げてもいいものだが、生憎と店員は、僕らのそんな心の声には耳を傾けなかった。
「あちぃーなぁー」
そんな店員の態度にイライラし、大声で呟いた…Twitterに。数分後この書店への不満でTwitterが大荒れになった。待つこと二時間………
(Fuuuuuuu~~ようやく手に入ったんだゼッート)
やばいやばい、僕としたことが興奮してゼッートなんて言ってしまった。しかしそれもこの本を見れば納得か。いままで、ありとあらゆるエロ本を見てきたが、表紙だけでこんなにも興奮する作品は初めてだ。早く中身が見たい。マイスイートルームに帰還しなくては。僕は愛車のブラックパール号にまたがり帰路についた。
(どうしよっかな~~)
僕はこういう当たりの本を手に入れると、一週間かけてじっくり読むタイプなので、どうやって読むかをシミュレーションしていた。
ちなみに僕の愛車のブラックパール号は、去年買ったマウンテンバイクで時速30キロで走る。徒歩10分の道程も僕とブラックパール号なら5分で行ける。
(いや待てよ……近道を使えば3分で帰れるな……よし行くか。)
そこで僕は普段は使わない、人気のない裏路地を走ることにした。この選択が僕の運命を大きく狂わすことになるなんて、誰が予想できるだろう。少なくともこの時の僕にはできなかった。
作品名:DARADALife 作家名:齋古翔太