スターダスト・ガール
一時間後。
「なんじゃこりゃ……」
食卓の上には本格的な日本料理がきれいに盛り付けられた皿が並べられていた。まるで料理の教本のサンプル写真のようだった。
「いただきます」
まずは肉じゃがを口に運ぶ。
「美味すぎる……!」
うちの母親を遥かに上回る腕だった。
「ちょろすぎるな」
「すごすぎるよ……」
あっという間に食べ終えてしまった。
「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
「俺風呂入ってくるよ」
「風呂か!私も入っていいか?」
「お……おお、いいよ。俺が出たらな」
風呂に入るのも初めてだったのだろうか、さくらは俺が風呂から出て脱衣所の扉を開けるともう目の前でスタンバイしていて、意気揚々と飛び込んできた。
「待て!まだ服着てない」
「まぁまぁまぁ」
「うお、まだ脱ぐなよ」
さくらはもう待ちきれないという様子で服を脱ぎ始めていた。ピンク色のブラジャーが露になっている。僕はあわてて脱衣所から脱出した。
髪を乾かし、自室のベッドに寝そべっていると間もなくさくらが風呂から戻ってきた。さくらは初めての風呂を存分に楽しんだようだった。実に幸せそうな顔だ。
「着替え、持ってたのか」
さくらはさっきまで来ていた制服ではなく、いかにも部屋着といった楽な服装に着替えていた。
「能力を使って構成した」
なるほど。よく見たら今朝僕が来ていた寝巻きによく似ている。
「もうなんでもありだな」
タオルで髪を拭いているさくら、髪をかき上げるといい匂いが香ってきた。自分に使っているシャンプーと同じものとは思えない。肌は薄いピンク色に染まり扇情的だ。今更ながら、僕は彼女が非常に魅力的な女性であることに気付いた。自分の心音が落ち着きを無くし始めたのを僕は感じた。
「も、もう十時すぎか」
「夕食を作るのに意外と時間が掛かってしまったからな」
「今日は色々ありすぎた……地球人には少し過酷な一日だったよ」
「私も疲れたな。ちょっと早いがもう休んでもいいか?」
「俺ももう寝るよ。布団しくから待っててくれ」
電気を消し、僕らは眠りに落ちた。
作品名:スターダスト・ガール 作家名:くろかわ