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スターダスト・ガール

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 「……ってだけだぞ。それが何なんだ?」
 「その時、ちょっと離れたところからお前達を見ていたんだよ。それでお前の後をつけた」
 「なんで重康や美香じゃなくて俺なんだ?」
 「女には興味がない。お前じゃないほうの男は、私の好みではなかった」
 面識もない女から一方的に嫌われるなんて。なんて残念なやつなんだ重康。
 「……ん?てことはまさか、裏山の化け物騒ぎの正体ってお前か?」
 「そうだ。なるべく目立たないように動いていたつもりだったんだがな」
 「……噂では木々をなぎ倒しながら進むでっかい化け物って話だったようだけど」
 「この形になったのはごく最近のことなんだ。お前が聞いたのは私が前の姿をしていた時の話なんだろう」
 「変身できるって言ってたのはそういうことか」
 「効率よく繁殖するためには、この星でより魅力的と思われるような容姿をしていなければならないからな」
 「……確かに魅力的だ」
 整った顔立ちに大きく膨らんだ胸、くびれた腰。スタイルの良さは服の上からでもよくわかる。
 「そうだろう。服装もこの辺りで若い女から多大な支持を得ているものを選んだ」
 それでうちの学園の制服か……。
 「別に支持されているわけじゃないんだけどな……」
 「ん?どういうことだ」
 「いや、魅力的であることには変わらないからいいよ。一部の人間には絶大な支持を得ているしな……にしても、こんな話を俺なんかにしちゃっていいのかよ。誰かに言いふらすかもしれないじゃないか」
 「見たところお前はなかなか冷静で思慮深い人間のようだからな。一応信用している。それでこの話が広まるようなことがあったら、私自身の判断ミスということだ」
 「出会ってからの俺の態度は冷静や思慮深さからは程遠いものだったと思うんだけど……」
 「そんなことはないさ。この星に来てから日は浅いが、人を見る目だけはあるつもりだ。とにかく、話を聞いてもらったからには私の目的の達成のために協力して欲しい」
 「協力?具体的に何をすればいいんだ」
 「まだこの星に来てから一月も経っていないから、わからないことが結構あるんだ。色々教えてもらいたい」
 「子作り以外ならなんでも協力するよ」
 「そうだな、それじゃまずは手始めに……」
 ピンポーン。
 インターホンがなった。おそらく美香だろう。もういつからなのか思い出せないほど昔から、彼女はこうして毎朝僕の家まで迎えに来てくれている。
 「ちょっと隠れてて」
 しかし今さくらと一緒にいるのを美香に見られると少し面倒だ。先に学校に行ってもらおう。
 「了解」
 玄関のドアを開けると、門の前に美香が立っていた。
 「ごめん、遅くなっちゃって。さ、学校行こ」
 「あー、今日は先に行っていいよ。遅れて行くから」
 「悠一がそう言って学校来たことなんて無いじゃない。せっかく制服に着替えたんだから行きましょ」
 「いいよ。三時間目くらいには間に合うようにするからさ。先行っちゃって」
 「もー。テスト前になってから困ったって知らないよ?」
 「その時は美香が教えてくれるから大丈夫」
 「まったく、勝手なんだから……ん?ちょっと待って」
 突然眉間に皺を寄せてきょろきょろし始める美香。
 「どうした?」
 「……なんかヘンな香りが」
 悠一にずいっと近づきシャツに顔を近づけてきた。匂いを嗅いでいるようだ。
 「どうした?」
 「どいて」
 それだけ言って美香は僕を押しのけて玄関に押し入り、靴も脱がずに家に上がって廊下を進んでいった。
 「ちょっと、美香さん!?」
 さくらの存在に感づかれたか。ずんずんと廊下を進んでいく。
 「やっぱり……!」
 リビングに一足先に入った美香が愕然とした様子で言った。
 「悠一、この人は誰」
 低く静かな声で聞いてくる。
 「えーと、こいつはだな……」
 「私は、悠一の彼女だ」
 「ちょっと何言ってんの!?」
 「か、かかか彼女?悠一の?」
 「そうだ。最近は毎晩互いの体を重ねて愛を確認し合っているぞ」
 「おい、さくら……。美香、これはね」
 美香の目にみるみるうちに涙がたまっていく。振り向いて僕をきっとにらむと、
 「さらばっ!」
 部屋をとびだしていった。
 「美香!」
 後を追いかけたが鼻先でぴしゃりとドアを閉められた。
 「すまない、つい出来心で」
 「明らかに故意だろーが!」
 「お前も一人の男だからな。お前を狙う他のメスにはけん制しておかなければならないのだ」
 「そんな理由で俺の交友関係を崩壊させるつもりなのかお前は!」
 「そんなつもりはない。だが、見たところあの女は悠一に好意を抱いているように見えたからな。お前も気付いているんじゃないか?」
 「……まぁな」
 「彼女も魅力的な女性じゃないか」
 「美香は小さい頃から一緒だからな、そういう目では見れないんだよ」
 「見た目が整っていればいいというわけじゃないんだな……」
 「そういう男もいるけどな」
 「悠一は違うのか」
 「まぁ他にも重要なものはあると思う」
 「なるほど……手ごわいな」
 「なんだって?」
 「……のどが渇いた。茶が飲みたい」
 「こいつ……」
作品名:スターダスト・ガール 作家名:くろかわ