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「ぼくもそうだった。どうしてきみにプロポーズしなかったのか、不思議だった」
「どうしてなのか、教えてほしいわ」
「いま思うとね、きみが余りにも素晴らしかったから、こんな自分では役不足だと、ぼくは思ったんだ」
「あなたは、あの頃のあなたは、とってもすてきだったわ。どうして役不足だと思ったの?」
「もう一度繰り返すしかないよ。きみは、余りにも素晴らしかった。ミス日本だって、町中のみんなが云うくらいに凄くきれいだった。快活で、誰にも親切で、きみをほめない人はいなかった」
「ハンサムでかっこいいあなたは凄い秀才で、いつも面白いことを云ってみんなを笑わせながら、しかもスポーツ万能なのに、自慢話をしたことがないって聞いていたわ」
「きみは病気のおばあさんの世話を、できるかぎりしていたそうだね。虐められている子を救ってやったりしていたそうだね。見た目だけじゃなく、内面もミス日本だって、みんなが云っていたし、ぼくもそう思っていたよ」
「恥ずかしかったわ。みんながわたしをほめていると聞いて、いつも恥ずかしかった」
「それはおかしいよ。なぜ恥ずかしい?……でも、わからなくはない。ぼくも、よくほめられていたから……」