【第十一回・弐】うらうらら
「寝てる~可愛い~」
慧喜の腕の中で眠っている竜登を覗き込んで悠助が顔を緩ませる
「悠助と俺の子供はもっと可愛いよ」
慧喜がにっこり笑う
「うん! 早く欲しいな~」
悠助もわかっていないだろうけど笑った
「…かよしだね」
そんな二人を見て制多迦が言った
「…そうだね…」
矜羯羅が言う
「…も…逆に悲しいね」
制多迦が俯いた
「…って僕等は…」
「ずっとはないんだよ制多迦…だから今の幸せを精一杯楽しむ…それでもいいんじゃない?」
制多迦の言葉を止めるかのように矜羯羅が言った
「ずっとって願える幸せが今あること…それが幸せだって事…前はなんとも思ってなかったことさえ僕は今そう思える…不思議だよね」
そう言う矜羯羅の横顔を見て制多迦が微笑んだ
「僕も君ももう上や天や空なんか関係ない…守りたいものを守る」
矜羯羅が制多迦を見ると制多迦が頷いた
「…くは矜羯羅も守るよ」
「…ありがとう」
笑いながら言った制多迦に矜羯羅が微笑み返した
「ちょっと誰でもいいから洗濯物取り込むの手伝って欲しいっちゃー;」
和室の方から緊那羅の声が聞こえる
「あ、雨だ~…」
悠助がふと窓の方を見ると窓にはポツポツと雨粒がついていた
「僕手伝ってくるね」
悠助が立ち上がって襖を開けると茶の間にいた全員が一斉に立ち上がる
「…総出?」
矜羯羅が言う
「…いじゃない? 皆でいこう?」
制多迦がヘラリ笑った
作品名:【第十一回・弐】うらうらら 作家名:島原あゆむ