【第十一回・弐】うらうらら
ブルルルル…
日本郵政公社のバイクの音が家から遠ざかってしばらくすると家から出てきたのは南
そしてイソイソと郵便受けの中身をチェックし始めそして何かを見つけ笑顔になりそのまま家へと戻っていく
相変わらずチョ汚い部屋のかろうじて座れるベッドに腰掛けると可愛らしいピンクの封筒の差出人のところを見て南の顔が更にほころんだ
【きただ ありす】
そうかかれた封筒のウサギさんシールを大事そうにゆっくりはいで中の手紙を取り出し広げ読み始めて数秒後
「…マジで?」
ぼそっと呟くと何度も何度も同じところを読み返し始めそして顔を上げるとカレンダーに目を向けた
「アカン; これ去年のじゃん;」
カレンダーは去年の10月で止まっていた
「今日は土曜…で日、月、火…」
指を折りつつブツブツ何かを考えていた南が7本目の指を折り曲げて止まる
「…来週…?」
そしてまためくられていないカレンダーに目をやった
「だぁから!! コレは去年の---------!!;」
南が自分に突っ込むと立ち上がり床に散乱している物を蹴ったり踏んだりしながら部屋から出て勢いよく階段を駆け下りていき茶の間に入ると壁に掛けてあった正真正銘今年のカレンダーの前に立った
「…来週…だ…」
カレンダーに指をつけたまま南が笑顔になった
「ありすが来る?」
昼休みイカソーメンをくわえた坂田がにやけが止まらない南を見た
「いつ」
その坂田の隣の席で同じくイカソーメンを口に入れつつ京助が聞いた
「ら・い・しゅ・うッ!!」
南が嬉しそうに答えた
「朝からこんなカンジ」
中島が南の体を肘で押した
「【さくやおにいちゃんにあいにいくらかね。まっててね】…っつか--------------------!! 可愛いナァも------------------ おにいちゃん困っちゃうん」
南がバシバシと中島の背中を叩く
「俺等も困っちゃうん;」
京助が口の端をあげて突っ込む
「で? 何しにくるんだ?」
坂田が聞いた
「そこまでは書いてないんだけどさ~…も~…ね…わかる?俺のこの胸のトキメキ…ああん!! クッハ---------------!!!」
「わかってたまるか」
意味のない動きをして更に強く中島の背中をたたきだした南の頭を中島がスパンと叩いた
「大きくなったかなー…髪伸びたかなー…なーどうだと思う?」
にやけが止まらない南が京助達に聞く
「しるか;」
手に負えなくなった中島がイカソーメンをかみながら溜息をついた
「も~いくつね~る~とぉ~…うへへへへ」
「アカンこいつ;」
歌った後で不気味な笑いをし始めた南から京助と坂田がガタガタと机ごとはなれた
「いっやーん!! いかないでー; いかないでー; 私をおいていかないで-------!!;」
南が坂田の机をしっかと掴む
「君は強い! 俺がいなくても大丈夫だ---------ッ!!; 離せ」
その机を坂田が引っ張る
「ものは相談なのだよーぅ!!; だからいかないでー!!;」
「あっ; イカソーメン!!;」
机から手を離しその代わりに机の上に乗っていたイカソーメンを南が奪った
「聞いてくれないとコレ全部食うぞ!!」
「脅しか!!;」
南が脅迫まがいに言うと坂田が突っ込む
「俺のイカソーメン返せ!! ロリコン!!」
京助が手を伸ばす
「ロリコンちゃいまっせー!! こぼすこぼす; 落ちるって!! 引っ張んなって;」
京助に袖をつかまれた南が言う
「あっ!; てめ今三本落ちたろがッ!; 勿体ねー!!」
坂田が落ちたイカソーメンを拾った
「3秒ルール適応!」
そして自分で言ってそのイカソーメンを食う
「だから相談聞いてくれたら返すっちゅーの!!」
南が京助に渡すまいとイカソーメンを遠くにやる
「だから何の相談だよ!!; 内容によりけりだろがッ!!」
京助が必死でイカソーメンに手を伸ばしながら聞く
「…どうせありすに関することだろ」
「あ、それ俺も思う」
中島がボソッと言うと坂田がソレに賛同した
「ぴんぽぉおおおおおッ;」
「ギャ---------!!; イカソー!!;」
南が正解とばかりにピンポンと言おうとしてバランスを崩し後ろに倒れてゆくと手にしていたイカソーメンが宙に舞った
作品名:【第十一回・弐】うらうらら 作家名:島原あゆむ