【第十一回・弐】うらうらら
「幸せ?」
矜羯羅が緊那羅に聞いた
「…へ?」
歌うのを止めた緊那羅が矜羯羅を見た
「君は今幸せ?」
矜羯羅がもう一度同じ質問をする
「…私は…そう…だっちゃね…うん」
緊那羅が照れながらの笑顔で返すと矜羯羅がふっと微笑んだ
「…ずっと続けばって思わないほうがいいよ…いつかは…」
「わかってるちゃ」
矜羯羅の言葉を緊那羅が止める
「だから私は【今】の【幸せ】を思いっきり満喫してるんだっちゃ…私は永遠とかずっととか…思うことあるっちゃけど…でも…でもそれは…だから私は【今】の【幸せ】だけでいい…って思うようにしてるんだっちゃ」
緊那羅が少し体をねじって片腕を上げると背中にあった京助の頭が上手い具合に緊那羅の膝に落ちる
「…そうだね…」
矜羯羅が自分の足で眠る慧光と鳥倶婆迦の頭を撫でる
「…でも…でもずっとって…やっぱり願っちゃったりするのは…【今】が【幸せ】だからなんだっちゃよね…叶わないのに願っちゃうのは本当に今が好きだからだっちゃよね」
緊那羅が矜羯羅を見ると矜羯羅が制多迦の方を見た
「…僕はね…制多迦の笑顔が好きなんだよ」
矜羯羅の口元が緩やかに微笑む
「だから制多迦が笑っている今が君と同じく好きだよ…」
その微笑のまま矜羯羅が緊那羅を見ると緊那羅がめちゃくちゃ嬉しそうに笑った
作品名:【第十一回・弐】うらうらら 作家名:島原あゆむ