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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回・弐】うらうらら

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「阿修羅君---------------?」
呼ばれた阿修羅が振り向いて見下ろすとそこには自治会から返った母ハルミ
「いんや~…カンブリと月見してたんきに」
ヒラヒラと母ハルミに向けて阿修羅が手を振る
「滑って落ちるわよー?」
母ハルミが笑いながら言う
「大丈夫だっつーん」
阿修羅が立ち上がって伸びをした後朧月を見上げた
「そろそろ家に入っちゃいなさいね」
「おー…先はいっててくりゃれ」
母ハルミが言うと阿修羅が返した
「…【幸せな今】と【幸せな時】…両方はやっぱ贅沢なんかね」
カンブリを腰にくくりつけた阿修羅が屋根から飛び降りた

「悠助…寝ちゃった?」
慧喜が布団の中にいる悠助に声をかけた
「ううん」
モゾモゾと悠助が顔を出す
「悠助…俺ね今凄く幸せなんだ…」
小玉電灯と月明かりの部屋の中 慧喜が言った
「今までの中で一番幸せなんだ…だから怖いんだ…」
「怖い?」
悠助が起き上がって慧喜を見ると慧喜が小さく頷いた
「今を無くすのが凄く怖い…悠助を失うのが…」
そう言った慧喜の頭を悠助がゆっくり撫でたあと慧喜の頭を抱きしめた
「…まだ怖い?」
悠助が聞くと慧喜がその悠助の体をぎゅっと抱きしめる
「…悠助の心臓の音聞こえる…」
「どきんどきんって?」
「うん…」
慧喜がゆっくり目を閉じた
「だって僕生きてるもん。だからどきどきいってるんだよ」
悠助が笑った
「…俺は?」
慧喜が聞くと悠助が慧喜の胸に顔をうずめた
「…うん…大丈夫ちゃんとどきどきいってるよ? 慧喜も」
「…生きてる?」
慧喜が聞くと悠助が顔を上げた
「生きてるよ」
そう言って笑った悠助を慧喜が思い切り抱きしめた
「…うん…生きてる…」
慧喜が静かに言った

「…主は望んでたんだやな?」
コマが境内の欄干に座って朧月を見上げて言った
「わからないんだやな…でも…主は今度も自分からいったんだやな」
イヌが階段に座って言う
「…思い出したんだやな…」
いつの間にかゼンの姿になったコマが赤い前髪を風に靡かせて俯いた
「やっぱり主はゴ等の記憶を…」
イヌもゴの姿になり立ち上がった
「ゼン等は…栄野を守る…」
「ゴ等は…栄野を守る…」
ゼンとゴがハモって言う
「ただ…それだけなんだやな」
ゴが言うとそれからしばらくの沈黙
「ただそれだけでいいんだやな」
ゼンが言う
「そうなんだやな…そうなんだやな!! 難しく考えるのはゴ等らしくないんだやな!!」
ゴが伸びをして言った
「栄野の前後は我等が守るんだやな!!」
ゼンが朧月を見上げて言うとにんまりと笑った
「…なにがあっても」
ゴが言うとゼンが頷きがしっと腕を組み合わせてまた笑った