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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回・弐】うらうらら

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「ったく何しにいったんだか…;」
「いいじゃない! あーもう…」
「あーもうはこっちだもーぅ;」
石段を登りながら京助が溜息をついた
「…緊那羅?」
足を止めたヨシコが言った言葉に京助が石段の上を見ると鳥居の下に緊那羅がいた
「まさか待ってたとか…じゃないわよね? あれからずっと? まさか…よね?;」
ヨシコが言う
「…あんの馬鹿ならやりかねん…; ってか阿呆…;」
京助が石段を一段抜かしで駆け上る
「ちょ…っと待ってよっ;」
ヨシコも一段ぬかしではないが京助に続いて駆け上った
「なにしてんだよ;」
「うわ;」
いきなり声をかけられて緊那羅が思わず上ずった声で京助を見上げた
「あ…京助…と吉祥…;」
「何だか私はオマケみたいじゃない?; そうよオマケみたいだわ;」
ヨシコが腰に手を当てて溜息をついた
「で…なにしてたんだよ」
京助が聞くと緊那羅が立ち上がった
「待ってたんだっちゃ」
緊那羅が言って笑った
「家ン中でまってりゃいいじゃん;」
「おかえり言いたかったんだっちゃ」
頭を掻いた京助に緊那羅が言った
「んなもん家の中にいても言えるだろうが…; 寒いのアカンクセに…」
「…京助…鈍いわ…そうよかなり鈍いわ」
京助が言うとヨシコが首を振って言う
「…私先家に入るわ」
ヨシコが二人の横を通って歩いていくのをしばらく黙ってみていたあと顔を見合わせた
「…鼻水」
京助が言うと緊那羅がズッと鼻を啜った
「…ただいま」
「あ…うん…おかえりだっちゃ」
歩き出した京助の隣に追いついた緊那羅が嬉しそうに笑った