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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回・弐】うらうらら

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朧月のせいで星が見えなくそれでもその朧月の光りで明るく優しく照らされている神社の屋根の上
あぐらをかいてそこに座るは阿修羅
「なぁ…オライは怖いんやよ」
カンブリの頭部分を撫でつつまるで語りかけるかのようにカンブリに向かって阿修羅(あしゅら)がボソッと言った
「ずっとと思える今が…無くなった時が怖いんきに…」
頭のみょんみょんを風に遊ばれながら阿修羅が寂しそうに笑う
「…それが自分の手で失くすことになるってぇことに緊那羅耐えられると思うか?」
語りかけてもカンブリからは何も返ってはこない
「【今までに無い時】っちゅーのも…また…な…オライにもどうなるかはわからんきに…」
阿修羅が朧月を見上げた
「…ただ…オライや迦楼羅みたいなんになるのは…嫌なんよ…なぁ…」
朧月が阿修羅の頬の傷を照らした
「…会いてぇなとかいまだ思うあたり…未練がましいんやなオライも」
阿修羅がカンブリを持ち上げた
「あん時…駄目もとで願っとくんだったなぁ…流れ星に」
阿修羅が溜息をつく
「…幸せな【時】を…」
星が見えない夜空を見上げて阿修羅が呟いた

「制多迦様」
鳥倶婆迦がガキンチョ竜を抱く制多迦に声をかけた
「…に?」
制多迦(せいたか)がヘラリ笑顔で鳥倶婆迦を見た
「体大丈夫?」
鳥倶婆迦が聞くと制多迦がゆっくり目を開けた
「…いじょうぶだよ…僕は」
制多迦が言った
「でも半分ここにあるんでしょ? だから…」
鳥倶婆迦が制多迦の宝珠を指差して言う
「…うだね…でも僕は僕だから大丈夫…」
制多迦が笑った
「…ゅうは僕を助けてこうなって…だから僕はここにいるんだ…」
自分の腕の中で眠っているガキンチョ竜を見下ろして制多迦が呟く
「…っと竜は竜として京助たちを守りたかったのに僕のせいでこうなったんだよね…」
「制多迦様…」
静かに言った制多迦の顔を鳥倶婆迦が覗き込んだ

「そこでそれ以上言うと叩くよ」
「矜羯羅様」
制多迦の頭の上に紙おむつをした尻が乗っかった
「…んがら…;」
「…叩かれたいの?」
制多迦を見下ろして矜羯羅が言う
「竜がこうなったのは君だけのせいじゃない…守れなかった僕のせいでもあるんだよ」
矜羯羅が言うと制多迦が驚いた顔で矜羯羅を見上げた
「それならおいちゃんだってそうだよ制多迦様」
制多迦の服を引っ張って鳥倶婆迦が言った
「そしてねここに京助がいたらきっとこう言うんだと思う」
「…ょうすけが…?」
「誰が悪い彼が悪い言ってたらキリがねぇって」
鳥倶婆迦が言うと制多迦と矜羯羅が顔を見合わせた
「…今の京助の物まね?」
矜羯羅が鳥倶婆迦を見る
「似てなかった?」
鳥倶婆迦が首をかしげると制多迦が顔を背けたあと肩がピクピク震えた
「…ツボったの?」
矜羯羅が制多迦に聞くと制多迦が頷いた