【第十一回・弐】うらうらら
「京助…私は今がずっと続けばいいって思うくらい幸せだっちゃ」
真っ直ぐな目で緊那羅が京助を見る
「こんなこと乾闥婆が聞いたらきっと凄く怒られるような気もするっちゃけど…私は【時】が嫌いだっちゃけど【時】がくれた今この時が凄く幸せで好きだっちゃ」
緊那羅が微笑む
「たとえいつか…」
微笑んでいた緊那羅の眉が少し下がった
「【時】がきて…も…私はこの幸せな今を忘れたくないっちゃ」
後半少し震えていた緊那羅の声
「…俺は…」
京助が俯いてそして口の端を上げた
「そこでちゅうの一つでもすれば盛り上がるんだやな」
「肩に手を回すんだやな」
足元にいたのはコマとイヌ
「まったく盛り上がりに欠けるんだやなぁ~」
二匹揃って溜息をつく
「おんまえらは…;」
京助が二匹の首根っこを掴んで持ち上げる
「…あああ!!」
コマが緊那羅を見て声を上げると緊那羅がビクッとすくみあがった
「大変なんだやな!!」
コマがバタバタと両手足を動かしてさも大変だー!! ということをボディランゲージする
「どうしたんだやな!?;」
コマの様子を見たイヌが聞く
「緊那羅オスだったんだやな!!」
「…ぉおおおお!; そうだったんだやな!!; ウッカリウッカリなんだやな;」
コマが言うとイヌも思い出したー!! と声を上げた
「まったく人騒がせなんだやな!!」
イヌが緊那羅に向かって怒った
「へっ!?; あ…ごめん…だっちゃ…?;」
「謝るなよお前も;」
何故か謝った緊那羅に京助が突っ込んだ
作品名:【第十一回・弐】うらうらら 作家名:島原あゆむ