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ウエツグ上次
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novelistID. 33611
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museum

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暗転
A舞台正面に移動。

明転
中央のみ照明があたる。

正面にぎこちなく立つロボット(A)。突然、人間のように動き出す。
A「はぁー。ビビったぁ!!ちけーよ!!何やらせんだよ!! 幽体離脱って古いよ! やだなー。あんな奴の身代りなんてぇー。はぁー。・・・・・・・・・・・ヨウにも、カケルにも俺がこんなに動けるって気付かれてないよな。・・・カケルには悪いけど、もし俺がこんなにも人に近いロボットだって表にばれたら、俺を造ったヨウはきっと危ない目に遭う・・・。ヨウと話せないのは寂しいけど、あいつが危険な目に遭うよりはましだ・・・・。」
B「ただいま。」
全体に照明があたる。
異常なほど慌てるA
B「あれ?カケル、まだ居たんだ。もうドラマの再放送始まっちゃってるから勝手に帰っちゃったかと思ったよ。ここテレビないからね。」
A「へ?ああ。う、うん。」
B「いいのか?観行かなくて。いつも楽しみにしてるのに。」
A「う、うん。大丈夫。あ、あれだよ。録画してあるから。」
B「ああ、買ったんだ。(A小さく頷きかける。)あれ、でも最近、金がないって言ってなかったっけ?この前だって、三分クッキングの料理見ながら白飯食ってしのいだって。」
A 少々驚き慌てながら、
 「あーん。そう。(何か思いついたように)拾ったんだよ。そう、拾った。」
B「ああ、そうなんだ。よく拾ってくるもんな。どう、結構使えるの?」
A「う、うん! 余裕!」
B「あ、ちゃんと十六号仕舞っておいてくれたんだ。」
A「うん。・・・・・左の部屋だったよね。」
B「そう。・・何かお前変じゃないか?」
A「そ、そんなことないよ!どこも変じゃないよ!」
B「・・・そうか?」
A「そうだよ。」
  座る二人。喉をさするA。
B「ノド渇いたのか?ちょっと待って、なんか飲むもの持ってくるわ。(立ち上がりお茶を注ぎに行く。)お茶でいいかな。」
A「あ、うん。」
  B二つグラスを持ってきて、一つAに渡す。飲み干すA
A「ぷは。・・・・・。」
グラスをまじまじと見るA
B「どうした。」
  グラスとBを交互に見て、不思議そうに訊ねるA。
A「あれ?どうして俺がノド渇いてるって分かったんだ?」
B「ああ。お前の癖だよ。前も言わなかったっけ?お前、ノドが渇くとこうやって(癖のまねをする)さする癖があるんだよ。」
A「あ、そうだったんだ。」
B「もうお前とは長いからな。それぐらい分かるさ。まぁ、子供に親の癖がうつるみたいに、その癖が僕にうつってから気付いたんだけどな。」
A ノドを触りながら納得した様子。
 「ふーん。」
B「ああ!そうだ。その癖ちゃんとロボットの方にもプログラムしてあるんだよ!より忠実にしようと思ってな。その方がばれにくいだろ。」
A 少し焦る
「そ、そうなんだ。す、すごいな。」
  何か様子がおかしいAを訝しげに思いだすB。
B「なんかお前、やっぱり変じゃないか?」
A「そ、そんなことないよ!」
B「そうかぁ?なんか変だぞ。」
A「ど、どこが?」
B「なんかその反応というか。」
A「そんなことないよ。いつも通りだよ。」
B「そうかな。」
A「うん、うん。」
B「まぁ、いいや。・・・・あ。そういや、さっき言い忘れてたけどさ、実は十六号まだ本当の完成じゃないんだよ。」
A「え?」
  動揺するA
B「別に機能とかに特別影響があるわけじゃないんだけど、ロボットは基本、身体の中にバッテリーがあって外から充電してそのバッテリーに貯めるんだけど。」
A「ああ。携帯とかみたいに?」
B「そう。まぁ僕の造ったロボットは食物とかを電気に換えれるから充電はあんま必要ないけど・・・で、十六号は一応まだ本始動じゃないから中のバッテリーじゃなくて、外側にこんなもんの副バッテリーをこう、腰のあたりにさして動くようになってんの。」
A「へ、へぇー。」
  自分の腰のあたりを気にする。
B「だから、普段は問題ないけど、運ぶ時はそこも注意して運んでほしいって話。外れてすぐ直せるもんでもないし。ほら、お前そういうとこ雑だから。心配になって。」
A 腰のあたりを触りながら激しく動揺。
 「う、うん!分かった気をつける。」
B「(Aを疑うように見て)・・・・。お前なんかやっぱおかしいよ。」
A「へ、へ?」
B「ほら、そこ。・・・なんか隠してないか?」
A「うへぇ。何も隠してないよ!」
B「分かった。お前、右側の部屋に入ったんじゃないか?」
A「え!違うよ!ほんとに!入ってないから、信じてよ!」
B 疑いの目。
A「ほんとだって!信じてよ!俺ここから一歩も出てないし!」
B 疑いながらも
 「ふーん。・・・・・ん?お前今、ここから一歩も出てないって言ったか?」
A「うん。」
B「じゃあ、十六号をどうやって仕舞ったんだ?」
A「あ!・・・・・。(慌てるA)そ、それは入った。右の部屋には、一歩も入ってない。」
B まだ疑ってる様子。そして何か気付いたようで、すこしゆっくりと
 「あのさ、お前、左の部屋に入ったときなんか、置いてなかった?」
A 少し考えて。自慢げに
 「あ、柄の長い箒とちり取りが邪魔だったな。十六号が入れ辛かった。」
作品名:museum 作家名:ウエツグ上次